「サイレントヒル」新作のモデルになったスコットランドの漁村を歩く 昼は牧歌的だが夜になると……
一昨日
筆者はこれまで「サイレントヒル」をかなりプレイしてきたので、このシリーズがどのようなゲームかを熟知している。立ち込める濃霧の向こうから名状しがたい恐怖が忍び寄り、プレイヤーの正気を極限まで削り取ってくるのだ。だからこそ、最新作のモデルとなった現実の村を訪れ、そこが実に魅力的な場所だったと分かったときには、ほっとした。三角頭(ピラミッドヘッド)もいなかった。
「Silent Hill: Townfall(サイレントヒル タウンフォール)」は、この伝説的サバイバルホラーシリーズの最新作だ。開発を手がけるスコットランドのゲームスタジオScreen Burnは、作中に登場する架空の町セント・アメリアが、趣のある海辺の村セント・モナンズを主なモデルとしていることを明らかにしている。セント・モナンズは、筆者が暮らすエディンバラから車で約1時間。そこでLeicaのカメラを手に現地を訪れてみた。
実を言えば、セント・モナンズにはこれまで何度も足を運んでいる。それも当然だろう。素敵なカフェが何軒かあり、海沿いにはアイスクリーム店があり、古い港の周囲には撮影したくなるような年季の入った船が数多く並んでいる魅力的な村だからだ。筆者は長年にわたり、ここで何百枚もの写真を撮り、自身の YouTubeチャンネル 向けにも何本もの動画を制作してきた。
この村がホラーゲームの舞台のモデルに選ばれたのは、多くの点で意外だ。しかしゲームの 予告映像 を見る限り、Screen Burnがこの土地の絵はがきのような美しさを前面に押し出していないことは明らかだ。のどかな景色や美しい花々の代わりに、セント・アメリアは暗く、寒々とした色調に包まれ、シリーズを象徴する濃い霧に覆われている。
通りには人影がなく、店はシャッターを閉ざし、安全を呼びかける手描きのポスターが貼られている。米CNETのDavid Lumb記者は今夏、このゲームを先行プレイし、「セント・アメリアは小さいが、不気味なほど人の気配がない。慎重に歩き回っていると、ときおり聞こえる環境音だけが静寂を破る。看板や建物がわずかに軋む音だ」と評している。
ゲーム内の景色。建築様式、低い港の防波堤のそばにある街灯、ピンクがかった小石を塗り固めた壁。まさに実物通りだ
現実のセント・モナンズは、昼間であればまったく違う。人々が暮らす活気あるコミュニティーで、天気の良い日には大勢の観光客でにぎわうことも多い。直近に訪れた際には、漁師たちが網の手入れをする様子を眺めながら座っていると、近くでははしごに上った男性が店の看板を塗り直していた。満開のラッパスイセンと頭上に広がる美しい青空も相まって、実に愛らしく牧歌的な光景だった。
とはいえ、Screen Burnはこの場所の特徴を実によく捉えている。歩き回ってみると、そのままゲームの世界に取り込んでデジタル化したかのような構図がいくつも目に入った。建物の造り、あちこちに置かれた漁具、店の外観など、どれも細部まで観察し、忠実に再現されている。
サイレントヒルのセント・アメリアに出てくる張り紙。配水管の位置も同じだ
筆者が訪れた際に唯一足りなかったのは霧だ。スコットランドの海岸は霧が多いことで知られる。しかしこの日は見事な晴天で、この場所を穏やかな安息の地以外の何かとして想像するのは難しかった。少なくとも、夜が訪れるまでは。
暗くなると、雰囲気は一変した。観光客は姿を消し、不気味な静けさだけが残った。音のない通りを慎重に歩いていると、自分の足音がいつも以上に大きく響いているように感じられる。街灯が照らすのはごく狭い範囲だけで、その先はすぐ暗闇に溶け込んでいく。まるで明るい場所だけが、どこかに潜んでいるサイレントヒルの恐怖から身を守ってくれるかのようで、思わず街灯の光を追いかけたくなった。
中でも気に入ったのが、港沿いに立つ電話ボックスだ。もしかすると、これもゲームに登場するかもしれない。英国を象徴する昔ながらの赤い電話ボックスではなく、1980年代に英国各地の通りに設置された、ガラスと金属でできた実用本位のBT製電話ボックスである。暗闇の中で内部から淡い光を放つその姿は、筆者には驚くほどサイレントヒルらしい光景に見えた。その瞬間、この場所がゲームの舞台のモデルに選ばれた理由を完全に理解できた。
確かに、セント・モナンズは愛らしく、美しく、牧歌的な場所だ。しかし、美しい場所であっても、条件がそろえばもっと不穏なものへと姿を変える。安心できるという感覚を突然奪い去り、足元をすくわれるような場所になり得る。
現実のセント・モナンズでは、夜が訪れただけでそれが起きた。ゲームではそこからどれほど先まで踏み込むのか、今から楽しみでならない。
「サイレントヒル タウンフォール」は9月24日から、「PlayStation 5」と「Steam」向けに発売されている。
この記事は海外Ziff Davis発の 記事 を4Xが日本向けに編集したものです。
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