「アメリカで使われている農薬には乳がんに関連する物質が含まれている」と主張する論文が発表される
13 時間前
化学物質と女性の健康に関する研究を行う Silent Spring Institute の研究チームが、「アメリカで使用される農薬に含まれている、少なくとも485種類の化学物質が乳がんと関連している」とする査読済み論文を、学術誌のEnvironmental Health Perspectivesで発表しました。
乳がんはアメリカの女性において皮膚がんの次に多いがんであり、毎年新たにがんを発症する女性の約3分の1が乳がんを患っています。 アメリカがん協会 によると、アメリカ人女性が生涯のうちに乳がんを発症する確率は約13%であり、発症率は近年増加傾向にあるとのこと。
研究チームは乳がん発症率の増加は既知の健康リスクや診断技術の向上だけでは説明できず、環境要因が影響しているのではないかと指摘。そこで、げっ歯類を対象に乳がんリスクの増加が確認されたり、 乳がんのリスク要因 であるとわかっている エストロゲン や プロゲステロン といったホルモンに影響する乳がん関連化学物質を920種類リストアップし、これらの化学物質が飲食物や農薬に存在するかどうかを調べました。
調査の結果、アメリカで使用されている農薬には少なくとも485種類の乳がん関連化学物質が含まれていることが判明。また、このうち農薬の活性成分として アメリカ環境保護庁 に登録されているのは145種類にとどまり、残りは農薬に添加された不活性成分であることがわかりました。
農薬の不活性成分は界面活性剤や浸透剤であり、これらは有効成分の拡散を助けたり、植物の吸収性を高めたりする働きを持っています。論文の筆頭著者であるSilent Spring Instituteのジェニファー・ケイ氏は、「それらは生物学的に不活性なわけではなく、害虫を標的としないから不活性と呼ばれているだけです」と述べています。
人間の体は農薬の有効成分と不活性成分を区別しないため、不活性成分だからといって人体への危険性がないわけではありません。しかし、アメリカ環境保護庁の審査において農薬の不活性成分は有効成分ほど徹底的な安全性評価が行われないとのこと。
また、アメリカ環境保護庁は各農薬成分の個々のリスク評価は行いますが、人間は特定の農薬だけにさらされるのではなく、環境中から複数の農薬に同時にさらされる可能性があります。ケイ氏は、「これらの曝露量を合計すると、かなり重大な問題で懸念すべき事態になります」と警告しました。
なお、アメリカ環境保護庁の農薬・化学物質安全部門の幹部には、以前は規制緩和を訴えていた 元業界ロビイストが多く起用されており 、農薬部門は特に業界団体の影響を受けているとのこと。ケイ氏は、規制緩和に好意的な人物がアメリカ環境保護庁に浸透することで、化学物質の規制に影響が及ぶことを懸念しています。
ソーシャルニュースサイトのHacker Newsではこの論文およびThe Guardianの報道について、さまざまな意見が寄せられています。
あるユーザーは、元となった論文の質は低いものであり、科学的検証に乏しいプロパガンダだと批判しています。
別のユーザーも、今回の研究における「乳がんに関連付けられている」の意味は人間において乳がんとの関連が示されたわけではなく、げっ歯類を対象にしたものである点に注意が必要だと指摘しました。
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