“MR-G”30周年を記念した限定モデル「MRG-B2100HR」の「構造色」は、どのように見えるのか?
51 分前
“MR-G”30周年を記念した「MRG-B2100」の限定モデル「MRG-B2100HR」が発表された。「MRG-B2100」の特徴的な格子状立体文字板にプラチナ箔を施し、ベゼルとバンドには構造色技術による箔押しテクスチャーを採用している。発売は11月13日(金)、価格は110万円(税込)。世界限定800本で展開される。
「色のタフネス」を実現した超短パルスレーザー。角度で表情を変える“構造色”の秘密
G-SHOCKの最上位シリーズ「MR-G(エムアールジー)」。その30周年記念モデルとして登場する「MRG-B2100HR」で最も目を惹く要素は、ベゼルとバンドに施された「構造色技術」だろう。
ちなみに構造色とは、絵の具のような「色素」によってつくられる色ではない。物体の微細な表面構造に光が反射・干渉することによって見える色のことだ。
通常の「色素による色」は色素自体が特定の色の光を吸収し、残りの色を反射する。これに対し、構造色は微細な構造によって特定の波長の光だけを強め合って反射させるため、見る角度や光の当たり方によって色が刻々と変化するのが特徴だ。
自然界ではタマムシやモルフォ蝶などの昆虫の体表・羽根、鉱石(雲母)などに見られ、身近な製品ではCDやDVDの記録面、ホログラムなどでも目にすることができる。
まずは動画をご覧いただきたい。角度によってベゼルやバンドの色が明らかに変化しているのが分かるはずだ。
では、特定の波長の光だけを強め合って反射させる「微細な構造」をどのように実現したのか。その鍵は、協力会社の最先端の金属加工技術「超短パルスレーザーによる微細加工」にあるという。
超短パルスレーザーは照射時間が極めて短く、金属に余分な熱を与えずにナノレベル(1ミリの100万分の1)の超微細な周期構造(ナノ周期構造)を金属表面に直接刻み込むことができる。
刻まれたナノレベルの溝に光が当たると、光の波長が干渉し合い、特定の光だけが強調されて鮮やかなグラデーションや独特の反射光を生み出す。さらに、従来の塗装やめっきのように摩耗による色落ちや剥がれが発生しない。
つまり構造色とは、その美しさに加えて「色のタフネス」でもあり、まさにG-SHOCKの外装にふさわしいアプローチといえるのだ。
なお、ベースモデルの「MRG-B2100」と同様、ベゼルには「COBARION®(コバリオン)」、バンドには「DAT55G」といった高硬度金属が使用されている。
コバリオンは純チタンの約4倍の硬度を持ち、力を加えるほど硬化する特性を持つ。また「DAT55G」は金属アレルギーに配慮した高性能チタン合金で、硬度は純チタンの約3倍を誇る。これらの高硬度材料の加工には、山形カシオの技術とノウハウが不可欠なのだ。
伝統工芸「木組」と箔アーティスト・裕人礫翔氏の融合。“唯一無二”の存在感を解き放つ
金物を使わずに木材を組み合わせる日本の伝統技術「木組」から着想を得た立体文字板もまた、「MRG-B2100」の大きなアイデンティティだ。
今回の「MRG-B2100HR」では、この木組みの格子1つひとつに、手作業で「砂子(なご)」と呼ばれる粉末状のプラチナ箔を散らしている。ひとつとして同じ模様の個体が存在しない「世界で唯一の文字板」という点も、オーナー所有欲を満たす価値のポイントだ。
世界で唯一の文字板模様。個体ごとに異なる表情を見せる
このデザインと製造を手掛けたのは、世界的な箔アーティスト・裕人礫翔(ひろと らくしょう)氏。同氏はMR-Gの誕生30周年を記念し、伝統と革新性を併せ持つ「箔」とMR-Gの姿を重ね合わせ、時を超える強さを表現する「悠(はるか)」というテーマを導き出した。
このテーマのもと、氏がオリジナルの箔アート作品を制作。本モデルでは、それを時計へと落とし込みアートと時計別々の手法で「悠」というテーマを描きだしている。先述のベゼルとバンドに施されたレーザー加工による構造色も、「悠」の世界観の一部として設計されており、構造色部分のテクスチャー形状は“箔”がモチーフとなっているのだ。
なお、本レビューの撮影では、ちょうど構造色が浮かび上がる角度を探し出してその色を拾うように意識している。普段使いにおいては、むしろブラックとシルバーのソリッドなコンビネーションが印象的で、極めて実用的であることをお伝えしておきたい。
世界限定800本という希少性ゆえに「ぜひ店頭で実物を」と気軽にいえないのが惜しまれるが、高度なテクノロジー、実用性、そして美術品のようなアート性を融合させたカシオらしい最高峰ウオッチの在り方として「MRG-B2100HR」は、まさにマイルストーンとなるべき一本だ。
1962年、京都・西陣生まれ。伝統工芸士。京の名工。父・西山治作に師事し、箔工芸の技術を学ぶ。2002年、独自のブランド「裕人礫翔」を設立。唯一無二の技法を用いた独創的な作品を数多く手がけるとともに、さまざまなジャンルのデザイナーやアーティストとの共同制作を行う。また、文化財保存を目的として進められているデジタルアーカイブ制作事業に参画するなど、国内外で幅広い活動を展開。西陣織のために培われた箔の美の枠を超え、新たな表現を生み出し続けている。
※ COBARION®(コバリオン)は、商標登録され株式会社エイワのみが製造しているコバルトクロム合金です。
※ DATは、大同特殊鋼株式会社の登録商標です。
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