JERA、Dell、RHAELMが2.3兆円投資 - 千葉火力発電所に国内最大級AIデータセンター構想
53 分前
JERAとDell Technologies、RHAELM Holdings(レルム)は10月1日、日本における国家規模のAIインフラ整備に向けた基本構想の策定、事業化検討に関する覚書を締結した。また、JERAとRHAELMは覚書にもとづく第1号案件としてJERA 千葉火力発電所(千葉市)においてAIインフラ開発の推進を計画。同案件は米国の大手資産運用会社であるアポロ・グローバル・マネジメント(Apollo)がRHAELMの戦略的投資・資金調達パートナーとして参画を予定している。
3社は日本国内でのAIインフラ整備を加速するため、発電設備や電力インフラ、冷却設備、AIコンピューティング基盤を一体で標準化する構想を推進する。これらを一体的に設計・運営することで、AIインフラ開発で課題となっている個別設計による開発期間の長期化や、サプライチェーンの複雑化の解消を目指す。
日本のAI競争力強化に向けてAIインフラの整備を加速するためには、安定したガス火力発電と、それらを支えるLNG(液化天然ガス)バリューチェーンが重要な役割を果たすという。そのため、発電所に隣接してAIデータセンターを構築し、電力供給を直接受ける。
JERA 代表取締役会長 Global CEOの可児行夫氏は、標準化が必要な理由について「AIデータセンターには24時間365日の安全・安定した電力供給が不可欠となっており、世界的に『Speed to Power』と呼ばれる概念が注目を集めている。日本のAIデータセンター支援のインフラはデータセンターから発電所、パイプライン、LNG受入基地、LNG船、調達までの長大なチェーンで相互接続されており、全体の標準化と一体運用が鍵を握る」と説明した。
構想ではJERAのLNG調達から輸送、受入・貯蔵、発電までを担うLNGバリューチェーン全体に関する能力、Dell Technologiesの標準化されたAIインフラ基盤、RHAELMの大規模データセンターの開発・展開能力を掛け合わせ、電力供給とAI計算基盤を一体運用する新たなモデルの構築を目指す。
昨今、米国ではAIインフラやデータセンターの急激な電力需要に対応するため、迅速に電力容量を確保・供給する戦略や取り組みとして「Speed to Power」が注目されている。AIの普及で電力需要が加速度的に高まる中、従来の系統への接続待ちが数年単位で長期化している問題に対し、これを短縮・解決するというものだ。
可児氏は「国内でガスの生産ができない日本にとってはLNGが解決策となり、大規模AIインフラを短期間で立ち上げるには既存インフラの最大活用が不可欠だ。当社はLNGバリューチェーン全体を一体運用できることから、競争優位を持っている」と述べた。
さらに、同モデルを日本全国に展開するとともに将来的には海外市場への展開も視野に入れている。第1号案件で3社は共同で構築する標準モデルを活用し、千葉火力発電所で最大40万kW規模のAIデータセンターインフラの開発を進めていく。
投資額は用地や電力インフラ、施設建設、AIコンピューティング能力の全体を通じて150億ドル(日本円で約2兆3000億円)以上を見込んでおり、2028年ごろの運用開始を目指し、2029年までにフル稼働を想定している。
JERAが運営する既存の発電設備からオンサイト型の電力供給を受けることで従来の電力系統接続型データセンター開発と比較して、数年早いAIコンピューティング容量の提供を目指す。
また、JERAとRHAELMはJERAが国内に保有するほかの火力発電所への標準化モデルの展開について並行して検討を進め、2030年代には日本全体で数百万kW(数GW)規模のAIコンピューティング容量の実現を支援していく考えだ。
各社の役割としてJERAはエネルギー領域を担うパートナーとして、AIインフラに必要となる常時利用可能な大規模電力供給プラットフォーム構築を担い、火力発電所構内にAIインフラを整備することで発電設備からAIインフラへのオンサイト型電力供給が可能となり、新たなAIインフラの早期立ち上げと拡張を支える。
RHAELMは構想におけるプロジェクト全体の推進を主導し、大規模AIインフラの開発・運営に関する知見を活かし、JERAのオンサイト型電力供給とDell AI Factoryを組み合わせることで、日本全国への迅速な展開を可能とする拡張性の高い事業モデルの構築を狙う。
Dell Technologiesは、企業のAI導入から実装・運用までをエンドツーエンドで支援する包括的なソリューションフレームワーク「Dell AI Factory」を通じて、導入までの期間を短縮できる事前統合型のラックスケールインフラを提供し、AIコンピューティング基盤の標準化を推進していく。
ビデオメッセージを寄せた、Dell Technologies 会長兼CEOのMichael Dell(マイケル・デル)氏は「AIの未来は、推論して自律的に行動し、24時間365日稼働し続ける自律型システムだ。これを国家規模で実現するためには、電力、冷却、ネットワーク、コンピューティング、ストレージに至るまで、インフラを構成するあらゆる要素が最初から連携して機能しなければならない。その実現には標準化され、再現可能なモデルが不可欠であり、Dellが提供するのはまさにその部分。今回の協業は、日本のAI戦略の実現を支えるために、長期的で意義ある基盤を構築していくという共通のコミットメントを示すものとなる」と説明していた。
RHAELM CEOのBradd Lewis(ブラッド・ルイス)氏は「AIを大規模展開するためにはコンポーネントから運用手法に至るまであらゆるレイヤーで標準化され、再現可能な手法が求められる。AIの重点領域は基盤モデルの学習からフィジカルAI、先進的な製造業・ロボティクスなどの応用的なAIに移りつつあり、日本はこうした分野において極めて大きな可能性を有している」と力を込めていた。
現時点で単一拠点としては日本最大となり、中国を除くアジアにおいても最大規模だという。標準化モデルの有効性を検証し、さらなる高度化につなげる先行事例となり、実践的な知見や運用ノウハウを蓄積し、日本全国に展開が可能な拡張性の高い標準モデルの確立を目指す。
また、当日にゲストとして登壇した、経済産業副大臣の髙木啓氏は「今年7月に閣議決定した成長戦略では17分野62製品に対して2040年までに370兆円を官民で投資を行う方針を示し、このうちクラウドやデータセンター、蓄電池には2035年までに32兆7000億円の投資を見込んでいる。電力需要の増加で、インフラの迅速な確保はわが国の国内投資を加速するうえでも重要な課題となっており、3社の知見を組み合わせることで、既存の電力インフラの活用や設計や工事の標準化を通じ、データセンターをはじめとする大規模電力需要の国内立地のさらなる加速化を目指す、重要な取り組みとなる」と述べていた。
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