“カラスの裁判”どころか…「アンタ、どこ中?」ヤンキーさながらのカラスの喧嘩、集団でフルボッコにする衝撃の結末(東洋経済オンライン)
48 分前

中学校の入学翌日の思い出。
教室に向かって廊下を歩いていたら、ちょっとヤンチャそうな奴が立ちはだかった。初対面、ということは小学校が違ったのだろう。避けようとしたらまたブロックされ、結局、廊下でがっちり組んで力比べが始まった。
当たり前だが、その辺の教室の連中も勝負の行方を見ている。
相手のほうが背が高かったのだが、結局、彼は「こいつ、むっちゃパワーあるわ!」と笑って去って行った。
「最初にガツンとシメとかないとナメられる」などと物騒なことは言わないが、あの一件は多少、その後の学校生活を楽なものにしたかもしれない。
中学校の入学翌日の思い出。
教室に向かって廊下を歩いていたら、ちょっとヤンチャそうな奴が立ちはだかった。初対面、ということは小学校が違ったのだろう。避けようとしたらまたブロックされ、結局、廊下でがっちり組んで力比べが始まった。
当たり前だが、その辺の教室の連中も勝負の行方を見ている。
相手のほうが背が高かったのだが、結局、彼は「こいつ、むっちゃパワーあるわ!」と笑って去って行った。
「最初にガツンとシメとかないとナメられる」などと物騒なことは言わないが、あの一件は多少、その後の学校生活を楽なものにしたかもしれない。
■カラスの雛も独立し、やがて…
カラスの雛は巣立ち後数カ月で親の縄張りを出て独立する。
実際には出て行ったと思ったらすぐ戻って来たりもするようだが(確実な識別ではないのだが、数日見なかった若鳥をまた見かける――しかも親鳥もあまり追い出さない――といった例はよく見る)、まあ、いずれは出てゆく。
これについては日本のハシボソガラスで面白い観察があり、子供がいつまでも出ていかないと、オスが怒るという(これは標識に基づく観察なので、確かなはず)。メスはそうでもないらしい。
確かに、私もそんな光景は何度も見た。ハシボソだけでなく、ハシブトガラスでも見た。
親鳥の1羽が若鳥を追い回しているのだが、もう一方の親鳥は見ているだけ、あるいは飛び回っていても攻撃はしないのだ。激怒しているほうが父親で、見ているほうが母親だったのだろう。
逃げ回る子供が母親の陰に隠れるように電線に止まり、母親は父親と子供の顔を交互に見ながら「どうしよう?」といった様子だったこともある。
秋頃にカラス2羽の大空中戦があったら、子供を追い出そうとしている父親の可能性が高い。
■「アンタ、どこ中(チュー)?」巣立ちした若鳥たちの試練
夏の終わりから秋にかけて、親元を離れた若鳥たちは非繁殖集団に加わる。そこで発生するのが、群れの中の順位争いである。
カラスの群れにボスはいないが、明確な順位はある。日本の、飼育下のハシブトガラスの研究ではオス・メスごちゃまぜで順位があったという。
ヨーロッパのハシボソガラスの研究ではオスはオス同士、メスはメス同士で順位があったとしている。
で、新入りがやって来れば、あるいは新顔同士が集団を作れば、「アンタ、どこ中(チュー)?」状態で力比べが始まる。
カラスの力比べはなかなか面白い。
まず、両者が胸を張り、傲然と顔を上げて、真正面から歩み寄る。ついで、一方が向きを変え、肩をそびやかしたまま並んで歩き始める。それからドンと肩をぶつける。やられた方もぶつけ返す。さらに、脚を伸ばして相手の脚を引っ掛けようとする。
言いたくないが、やることがとことんヤンキー気質なのだ。
■どうやって勝敗が決するのか?
人間と違ってくるのはここからだ。
指相撲ならぬ脚相撲のように、相手の脚を抑えようと蹴り合った挙句、足をにぎり合う。握手ではなく”握足”。
そのまま、無言の引っ張り合いが始まる。体勢が崩れればひっくり返されるわけだが、負けそうなほうは自分でそろそろとしゃがみ込み、とうとう、翼をわずかに開いたままコロンと腹を見せて仰向けになる。
これでほぼ勝敗は決したわけだが、勝ったほうは相手の翼を踏んでのしかかり、「ガッ!」と声を上げて突きかかろうとする……が、そこで止まる。
だが、敗者が抜け出そうと身動きすると、再び「ガッ!」と声を上げて突きかかろうとする。
どうやら、仰向けで動かない相手を攻撃できない、といった本能的な歯止めか何かがあるようだ。相手が身動きすると制約が外れて威嚇できるのだろう。
この後、いったいどうやって決着するのか? 勝者の頭が冷えるまでこの状態か? と思って見ていたら、実態はもっとヒドかった。
この喧嘩、実はギャラリーがいる。群れのほかのカラスたちが舞い降りて、周囲を取り囲んで見ているのだ。
「カラスの裁判」などと呼ばれるのは、おそらくこの状態だろうと思う。彼らはある意味、ジャッジであり、傍聴人である。待っているのだ。
敗者が決まるのを。
■負けたら集団でボッコボコ
負けが確定すると、野次馬の1羽がそっと近づき、敗者の尾羽をくわえて引っ張る。仰向けで押さえつけられた敗者が「くわあ!」と声を上げるが、のしかかった勝者が威嚇するから動けない。すると別の野次馬も尻尾を引っ張りに来る。
敗者はたまらず、飛び起きて飛んで逃げる。勝者はそれを追い、さらに野次馬どもまでもがワラワラと追いかけて行く。
負けたら集団でボッコボコ。それが若いカラスの喧嘩である。
野次馬どもが尻馬に乗って手を出す理由はわからないのだが、ここで勝っておけば(自分の実力とは関係ないとはいえ)、勝者側に回れるのかもしれない。
こういった喧嘩による順位は一度決まるとなかなか覆らない――「負けた」という記憶が残るのだ。だから、ついでだろうがズルだろうが勝ったことにしてしまえば、間接的に自分のランクを上げられる可能性はあるだろう。
さて、ランクが高いと何かいいことがあるか?
一つ確実なのは、餌のアクセスに優先権があることだ。
ハシボソガラスの群れにパンを投げてみたら、羽がボロボロで弱そうな個体が真っ先に飛び出てパン切れをかっさらい、群れの後方に退避したことがあった。ただ、非常にマズイことに、その目の前に、ものすごく強い個体がいた。
次の瞬間、強そうなカラスは目の前の小生意気な下っ端の翼にかみつき、引きずり回して地面に放り投げた。これが「俺様を差し置いて何してやがる」というメッセージだったのだろう。
カラスの群れはまるで出エジプト記のモーセが海を割ったようにさーっと分かれた。そして、礼儀知らずを放り出した「強面カラス」はその花道を通って、傲然と首を伸ばしたまま、最前列まで出てきたのである。
■偉そうな姿勢のせいで、下っ端に出し抜かれた
だが、ランクが通用するのはそこまでだった。
試しにその強いカラスの前にパンを投げてみたら、驚くべきことが起こった。両側で頭を下げ、ひれ伏すように控えていた2羽のカラスが、ためらわずにパンに飛びついたのだ。
強い個体ももちろん、反応した。だが、偉そうに頭を持ち上げていたせいで、地面まで頭を下ろすのが遅れた。結果、餌は隣のカラスが取ってしまったのである。
試しにもう一度やっても同じだった。「いやお前、その無駄に偉そうな姿勢やめろ」と言いたかった。
もちろんこれは「人間がパン切れを投げる」という特殊な状況だから起こったことだ。仮にゴミ袋が置いてあれば、その強い個体が餌にありついていただろう。
だが、優先権があるというだけで、別に周りの個体が遠慮するとは限らない、というのは面白い観察結果だった。
もう一つ、ランクが関係しそうなのはペア形成である。ヨーロッパのハシボソガラスでは、高位のオスとメスからペアになったという研究がある。
確かに強いカラスは餌を十分にとっていて栄養状態がいいだろうし、戦闘力も高いだろう。つまりは優良物件だ。
ということで、強いカラスは餌が食えて健康で、パートナーも得られる。生物としては非常に望ましい。
■強いカラスは「ボス」ではない
ただ、それ以上に「ボス」として振る舞うことはない。
先にも書いたように、カラスは常にちゃっかりしているのだ。強い奴が群れを従え、命令を下して言うことを聞かせていると考える理由はない。
第一、群れのメンバーは固定されていないので、嫌ならいつでも出ていける。関係性がブラックな割にフリーダムなのだ。
だから、カラスの群れにはボスもいないし、見張り役などの分担もないのである。
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