「陽キャ」か「陰キャ」か 安定を求める「内向的」と刺激を求める「外向的」どちらが幸せになれるか…予想外の結末(東洋経済オンライン)
37 分前

「ひとは幸福になるために生きているけれど、幸福になるためにデザインされていない」と提起する作家の橘玲氏。
多くの人は自分が幸せな人生を送っているかどうかにひとかたならぬ関心を寄せ、昨日より今日、今日より明日は幸せになれるよう努力を重ねる。
しかし、われわれが考える「幸福観」は根本的に間違っているのではないかというのだ。
このたび氏が解説を担当した書籍『幸福についての世界でいちばん冷酷なお知らせ』でも「意識的に幸せになろうとしてもムリである」と書かれている。
本書を上梓したのは韓国の進化心理学者であり、幸福研究の世界的な第一人者であるソ・ウングク氏。
橘氏とソ氏が意見を交わした書簡連載全3回のうち、第2回をお届けする。
第1回はこちら。
■内向的な人生はコスパがいい?
橘玲より ソ・ウングクさまへ
私は自分が内向的なこともあって、「外向的な性格は幸福度が高く、内向的な性格は幸福度が低い」ということに疑問をもっています。
近年の脳科学では、外向性はつねに覚醒度を上げようとする(刺激と高揚感を求める)傾向、内向性は覚醒度を下げようとする(刺激を避けようとする)傾向とされますが、幸福を高揚感と定義するなら、外向的なほうが幸福感が高いのは当然で、これは一種の同義反復です。
それに対して近年、「内向的なほうが専門職に適していて、知識社会では経済的に成功しやすい」「外向的な性格は政治家や芸能人に向いていて、たしかに目立つが、その一方でアルコールやドラッグなどの依存症になりやすく、死体安置所には内向的より外向的な性格が圧倒的に多い」などが指摘されています。
この年になって振り返ると、強い刺激にあまり関心のない内向的な性格のほうが、(ギャンブルにはまったく興味がないなど)最終的には人生のコスパが高いのではないかと思います。あと、内向的なメリットは、お金を使うことがあまりないので、自然にお金が貯まることでしょう。
それに対していつも刺激ばかり追い求めていると、若いときの幸福度は高いかもしれないものの、いずれどこかで破綻するようにも思います。すくなくともわたしのまわりでは、そのような人物が何人もいました。
■外向的な人は幸福を感じやすいだけ
ソ・ウングクより 橘玲さまへ
内向的・外向的な気質は、かなりの部分が遺伝的な影響を受けます。
しかし「遺伝」という言葉が意味するのは、個人差における人々の「相対的な順位」にすぎません(これはAさんがBさんよりも平均的により幸福であるという意味であって、だからといってBさんが不幸であるという意味ではありません)。
実際のところ、研究を見るとAさんもBさんも、ともに幸福です。人類の95%以上は平均的に自分を幸福だと評価しています)。つまり、内向的な人が不幸だということではなく、外向的な人に比べると幸福を感じる度合いが少ないという意味なのです。
この幸福の個人差は、実のところ進化の関心事(生存と再生産)ではありません。なぜなら、そうした生物学的課題を解決するためには、外向性が常に有利であるとはかぎらないからです。
■変化のない日常に、幸福は生まれない
状況(危険の度合い)によっては、外向性が不利に働くこともあります(たとえば、もしコロナ禍のような事態が数百年続けば、外向的な人のほうがより多く命を落とすことになるでしょう)。
重要な点は、金銭であれ社会的な成功であれ、性格ひとつでそれらが左右されるという見方はあまりにも単純化された解釈であるということです。
しかし、過去の人類よりもはるかに安全で豊かな生態系の中で暮らしている現代人においては、外向的な性格が、幸福などを感じる面では有利な結果をもたらすのは事実です。
幸福の観点から見てもっとも有利に働く外向性の特徴は、「新たな刺激を追求する」という点にあります。幸福とは、静止した変化のない日常からは生まれないからです。一時的な安らぎがただ持続するのは、幸福ではなく、それは「倦怠(退屈)」にほかなりません。
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