ドラム缶を“ベンチ”に再生 製作者が込めた思い 「作って良かった」と思う瞬間は?(テレビ朝日系(ANN))
46 分前

千葉県で不要になったドラム缶を譲り受け、ベンチに生まれ変わらせている男性がいます。番組が取材をすると、ベンチにより生まれた“地域のつながり”が見えてきました。
太平洋と九十九里浜を望む千葉県旭市。商業施設で行われていたイベントで来場者に注目されていたのは、とってもカラフルなベンチ。ちょっと小ぶりで、子どもたちに大人気です。
イベントに訪れた人
「あっちでも撮ってきました。カラフルでかわいいから」
「旭市のいろんなところにあるので。駅とかバス停とかにもあるので」
市民にとっては見慣れたベンチのようです。市内を探してみると、ありました。
たまごのイラストが描かれた黄色いベンチ。たまご農家が作るバウムクーヘン店の前に置かれています。
観光名所「恋する灯台」をイメージした恋の色・ピンクのベンチ。誰かがこぼしたソフトクリームでしょうか。遊び心満載です。
神社に置かれたメタリックなベンチは、龍のデザインが人気のようです。
鎌数伊勢大神宮 宮司 梅谷美行さん
「昇り龍みたいな感じで縁起がいいなんていう声もいただいたりして。拝殿のほうにお参りに来ないなと思ったら、こっちで記念撮影大会していたり」
市民に愛されるユニークなベンチ。一体、誰が作っているのでしょうか?
イベント会場を見渡すと、ベンチを気にする男性を発見。旭市に住む塙和広さん(38)に声をかけてみると、Tシャツにあのベンチが描かれています。
「私が作ってるドラム缶ベンチになるんですけど、廃材になっているドラム缶をアップサイクルして作っているものになります」
作り始めたきっかけは3年前。旅行先の沖縄で見かけたドラム缶ベンチに魅了されました。
「こんなものが自分の地元の旭市にもあればいいなと思って。自分で作れるものなのか、最初は分からなかったんですけど。作り始めてみてできて、こういうものをどんどん増やしていったら、旭市が盛り上がるんじゃないかなって」
一体、どのように作っているのか。製作現場にお邪魔させてもらうと、ブタたちに囲まれ、汗だくの塙さんがいました。
千葉県旭市にある養豚場。ドラム缶でベンチを製作している塙さんは、普段は養豚場で働き、ブタの健康管理のサポートをしています。
休憩で戻ってきた塙さん。お弁当をわずか10分で食べ終わると、足早に向かったのは、敷地内にある倉庫です。
「1時から仕事なんで、昼休憩で(製作を)やってるんで」
忙しい仕事の合間を縫って、ほぼ昼休憩の時間だけでベンチを製作しているという塙さん。倉庫にはドラム缶の山です。
「これ、すべて旭市内の企業から廃棄になるはずのものをいただいたものです」
「話を聞けば、車屋さんだったり、ドラム缶の処理に困っているとか、そういう話も聞いたので」
オイルなどの保管・輸送に使われるドラム缶。町工場などでは仕入れる数が少ないため、業者に引き取ってもらうことが難しく、処分に手間がかかっていたといいます。
そうしたドラム缶を譲り受け、ユニークなベンチに再生していくのですが、一体どうやって作っているのでしょうか?
側面をカットして、これは背もたれになるんですね。さらに、溶接機で脚を取り付けます。座面になるようです。
「写真を撮ってきて、見よう見まねだったんですよ、最初は。そこから自分で改良して、今に至ります」
塗装にも工夫を凝らしている塙さん。取り出したのはラップ。
「ラップ塗装という技法がありまして、ラップの模様を付けてそれに色をのせていく」
丸めたラップを使って模様を付けて、上からスプレーを吹きかけると、グラデーション模様が完成しました。神社で見た、あのベンチの模様と同じです。
塙さんは、自ら市や地元のお店に交渉。現在、旭市内12カ所に25台のベンチが設置されています。
旭市 生涯学習課 小沼浩明さん
「市内のドラム缶ベンチを巡るような、市外、県内、県外から来ていただくと、やはり旭のPRにもなりますので、そういった活用を市としてもしていけばいいんじゃないかと」
そんな声に応えるように、塙さんは市のイベントにベンチを提供したり、自らキッチンカーを呼ぶイベントを企画しては、ベンチを見てもらう機会にしています。
「設置した当初は座るだけのためのベンチだったんですけど、駅前とかに設置してあるうちに、人と人との交流が生まれたりとか、そういうのを見たり聞いたりすると、作って良かったとうれしく思う」
塙さんはベンチの他にも、ドラム缶でこんな物も作っています。
一見すると、ペイントされたただのドラム缶ですが、側面の部分を引っ張り出すと、なんと椅子が出てきます。残った部分はテーブルとしても使えます。
これは塙さんの妻・知里さんのすすめで製作したそうです。イベントの時など、飲食スペースとしても活躍しているそうです。
そんな塙さんに、思い描く未来図をお願いしたところ、番組のためにこんな作品を作ってくれました。
業務用のペンキなどに使われるペール缶をオレンジ色に塗ったプランターです。
番組のイメージで、この色を選んでくれたそうです。側面には、塙さんが思い描いた絵を描いてくれました。
地球を中心にドラム缶がベンチに変わる循環の様子が描かれています。ちなみに爪楊枝を使って描かれたそうです。
「捨てる」という過去の行為を、資源としての「価値」へと変え、創造と消費を繰り返すたびに、その輪は世界へと「広がり」、誰もが穏やかな夜を迎えられる、持続可能で美しい共生の未来を紡ぎ出すという思いが込められているそうです。
(2026年10月1日放送分より)
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