ニデック、岸田前社長の辞任経緯語る(EE Times Japan)
39 分前

ニデックは2026年10月1日、決算発表や社長交代に関して記者会見を開催し、前社長岸田光哉氏が同年9月29日付で辞任した経緯を説明した。ニデックによると、9月25日の取締役会で岸田氏の進退について議論し、岸田氏が退席した後、残る取締役が全員一致で社長交代が必要と判断。その旨を岸田氏に伝えた結果、29日に辞表が提出されたという。ニデックは、岸田氏は9月29日付で既に会社を去ったとしていて、会見には出席しなかった。
社長交代を判断した理由として、2026年3月期に6321億3500万円の減損損失を計上したことに加え、岸田氏に「財務報告に関する不適切な言動」があったことを挙げた。ただ、言動の具体的な内容については明らかにしなかった。
会見にはPwC Japanから、代表執行役の久保田正崇氏らも出席した。PwC Japanは不適切な会計処理などに関与した役職員の一部が財務報告プロセスで責任ある立場を担っていることなどから2026年3月期の監査意見を「不表明」としている。久保田氏は「最終的に監査意見を提出するという責務は全うしたい」とした上で、「10月に間に合うように努力をしていく」と述べた。
ニデックは2026年10月1日、決算発表や社長交代に関して記者会見を開催し、前社長岸田光哉氏が同年9月29日付で辞任した経緯を説明した。ニデックによると、9月25日の取締役会で岸田氏の進退について議論し、岸田氏が退席した後、残る取締役が全員一致で社長交代が必要と判断。その旨を岸田氏に伝えた結果、29日に辞表が提出されたという。ニデックは、岸田氏は9月29日付で既に会社を去ったとしていて、会見には出席しなかった。
社長交代を判断した理由として、2026年3月期に6321億3500万円の減損損失を計上したことに加え、岸田氏に「財務報告に関する不適切な言動」があったことを挙げた。ただ、言動の具体的な内容については明らかにしなかった。
会見にはPwC Japanから、代表執行役の久保田正崇氏らも出席した。PwC Japanは不適切な会計処理などに関与した役職員の一部が財務報告プロセスで責任ある立場を担っていることなどから2026年3月期の監査意見を「不表明」としている。久保田氏は「最終的に監査意見を提出するという責務は全うしたい」とした上で、「10月に間に合うように努力をしていく」と述べた。
社外取締役で取締役会議長を務める佐久間総一郎氏は、社長交代が必要だと判断した理由の一つとして、6000億円を超える減損損失を挙げた。最高経営責任者として「あるべき進退」を検討した結果だと説明した。
ニデックが2026年3月期に計上した減損損失は6321億3500万円。取締役会が6000億円を超える規模になるとの第一報を受けたのは9月中旬で、佐久間氏は「全く想定をしていない規模」とした。社長交代を検討する過程では、岸田氏に財務報告に関する「適切とは言いかねる言動」があったとの報告も取締役会に上がったといい、佐久間氏は、6000億円を超える減損と岸田氏の言動を考慮して社長交代を判断したと説明した。
巨額の減損を事前に予測できなかったのかとの質問に対して、ニデック側は「例えば半年前にわれわれはそういうことを予見していたかというと、残念ながら予見はできていなかった」と説明していた。
岸田氏の辞任に至った経緯についても質問が相次いだ。佐久間氏によると、2026年9月25日の取締役会で岸田氏の進退について議論。岸田氏が退席した後、残る取締役が全員一致で社長交代が必要と判断した。その旨を岸田氏に伝えた結果、29日に岸田氏から辞表が提出されたという。
岸田氏がどのように受け止めたのかとの質問に対しては、佐久間氏は取締役会が全員一致で交代が必要との見解に達したことを岸田氏に伝え、「その結果、辞意を示された」と説明した。
質疑では、決算発表を目前に辞任するのではなく、岸田氏自身が決算会見で説明するという責任の果たし方もあったのではないかとの指摘も出た。これに対しニデック側は、今回の決算プロセスの中で問題を把握し、その内容を踏まえて速やかに取締役会などで議論したと説明した。その上で、岸田氏本人と話し合う中で「このタイミングでの辞任をご判断いただいた」とした。
岸田氏本人が辞任理由を説明すべきではないかとの質問も出た。ニデック側は、岸田氏について「9月29日付で既にこの会社を去っている」と説明。「本人の意思は定かではないが、本件に関してニデックとして説明するのは、われわれの役割だ」と述べた。
ニデックは岸田氏の「財務報告に関する不適切な言動」について、その具体的な内容は明らかにしなかった。会社側は「会計の報告に関する内容」とした上で、具体的な言動については、法的責任を含め役員責任調査委員会が評価中であるとして明らかにしなかった。
ただ、佐久間氏は、今回の社長交代判断について「法的責任の有無という観点に照らして判断したわけではない」と説明。岸田氏の言動について、現在のニデックが経営トップに求める倫理水準に照らして「適切ではない」と判断したという。法的責任の有無については、役員責任調査委員会の調査結果を待つとしている。
岸田氏は役員責任調査委員会の調査対象となっている。佐久間氏は、同委員会の調査内容について取締役会には「一切知らされていない」とし、法的責任の有無については調査結果を待つとした。
一方、PwC Japanはニデックの2025年3月期と2026年3月期の2期連続で監査意見を不表明とした。ただし、久保田氏によると、それぞれで意見不表明とした理由は異なる。
2025年3月期については、第三者委員会などによる調査が完了しておらず、不適切な会計処理の範囲や財務諸表への影響について十分な監査証拠を得られなかった。一方、2026年3月期は第三者委員会による調査などがおおむね完了し、「意見不表明となる要因が具体的に特定できている」と説明した。そのうえで主な要因として、コーポレートガバナンス、資産の減損、比較情報を挙げた。
中でも問題となったのが、不適切な会計処理などに関与した役職員の扱いだ。ニデックは関与者を決算処理に関与させないための予防措置を講じていたものの、実際の運用で措置が十分に機能しなかったケースがあったほか、決算処理を進める中で新たに関与が判明した人物もいたという。
この結果、一部の関与者が2026年9月末時点でも財務報告プロセスで責任ある立場を担っていた。PwC Japanは、こうした役職員から得た監査証拠や陳述の信頼性を確保できず、ニデックが把握、修正した不適切な会計処理が網羅的なものか判断できなかった。
ニデックは、該当する人員について配置や役割を見直す。ニデック側は、対象者は「複数名」と説明。一部の国で財務処理に影響を及ぼしている人材を特定していて、配置や役割を見直すことで、適正意見の取得を目指すとした。人事面での是正措置は現時点では完了していないといい、10月末までの完了を目指す。ニデックは10月28日までに東京証券取引所へ内部管理体制確認書を提出する予定で、11月13日の2027年3月期上期決算発表、12月の中期経営計画発表についても予定を変更しないとしている。
なお、PwCが今回問題視した役職員に岸田氏が含まれるのかとの質問に対し、久保田氏は「監査意見は9月30日時点のもの」とした上で、岸田氏は前日の29日付で辞任しているため「今回の対象には含まれていない」と説明した。
過年度決算の訂正に伴い、ニデックでは過去5期にわたって分配可能額を超える配当が行われていた。会社法違反に該当する可能性や当時の役員に対する責任追及について、ニデック側は「まさにそうした観点で、この問題をどう評価すべきか、現在、法的評価も含めて行っている」と説明した。
当時の役員に対する損害賠償請求などの対応については、役員責任調査委員会が責任の有無を検討しているとして「役員責任調査委員会の判断を伺って、会社としての判断を決めていきたい」と述べた。
焦点の1つは、ニデックが内部統制を是正し、PwCが監査意見を表明できる状態にできるかだ。
久保田氏は「監査人の責任は監査基準に基づいて、十分かつ適切な監査証拠が入手されたときに、監査意見を表明する」ことだと説明。そのためには十分かつ適切な監査証拠を入手できる内部統制が必要で、ニデックが現在その整備を進めているとして「10月に間に合うように努力をしていく」と述べた。
久保田氏は、ニデックが内部統制を整備し、適切に対応する意思を持つ以上「監査を行って監査意見を出せるように、監査証拠の入手を進めていく」ことがPwCの責任だとの考えを示した。
ニデック側も、PwC Japanから指摘された課題は明確になっているとして、1つずつ解決する方針を示した。会見で、監査意見が再度不表明となった場合の対応について問われたニデック新社長の戒田理夫氏は「今それは全く考えていない」と回答していた。
質疑では、一連の不適切な会計処理が長期間にわたって行われていたことを踏まえ、PwCの過去の監査や監査法人側の責任についても質問が出た。
第三者委員会の調査報告書では、ニデックの役職員がPwC Japanを「説得しやすい相手」「組みしやすい相手」と捉えていたことを示す証拠が確認されたとされる。これについて久保田氏は、「組みしやすい」との表現は会社側の認識であり、PwC Japanとしてコメントする立場にはないとした。一方、一連の問題を受け、PwC Japan側でも過去の監査について検討すると説明。「そこでの学びを生かし、さらに監査のより高度な品質を求める」ことにつなげる考えを示した。
岸田氏の後任として社長執行役員兼CEOに就任した戒田氏は、新体制で内部統制やガバナンスの立て直しを進める方針を示した。戒田氏は、改善計画について自身も策定段階から関与し、国内外の重要拠点を回ってその意義を説明してきたと強調。改善計画をグローバルに浸透させて実行に移すとともに、上場維持についても「何としてもこれを維持するというのが、われわれの1つのミッション」と述べた。
経営面では、成長が期待できる事業に経営資源を集中させる一方、投下資本利益率(ROIC)などを基準に事業ポートフォリオを見直す。収益性などを踏まえて「何を残すか」を判断し、3~5年の計画の中で事業の選択と集中を進める考えを示した。
なお巨額の減損を計上した車載事業について、戒田氏は「車載は非常に大きな市場であり、技術が失われたわけではない」と強調。今後の成長につなげていく考えを示した。
質疑では、戒田氏自身と一連の不適切な会計処理との関係についても質問が出た。自身は関与していないとの認識なのかと問われると、第三者委員会が多くの社員や役員にヒアリングを行ったとした上で、「私は1秒もヒアリングを受けていない」と回答した。
70歳で経営トップを引き受けた理由について、戒田氏はニデックが現在「有事の状態」にあるとの認識を示した。そのうえで「約50年の職業人生の中で最後の貢献をしたいと考え、引き受けた」と説明した。
創業者の永守重信氏への印象についても質問に答える形で言及した。戒田氏は、永守氏と出会ったのは1997年だと説明。その後、日本電産リード(現ニデックアドバンステクノロジー) で上場という「大きな仕事」を経験したとして、「小さな会社に、大きな夢を与えてくれた」と振り返った。「社員も含めて、大きな夢を与えてくれたということでは非常に感謝している」と語った。
一方で、こうした永守氏への評価と現在の経営については「今どうなんだということとは全く次元が違う話」と切り分けた。戒田氏は、自身も再生委員会の報告書に意見を出してきたと説明。その上で「過去に戻るという考え方はございません」と強調した。「第2の創業」を掲げているとして、「今度は自分たちで自分たちの会社を作っていくんだということには何も変わりがない」と述べた。
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