人型ロボットの購入意向が「実体験で3倍」に跳ね上がる理由(Forbes JAPAN)
50 分前

米国と英国で1000人を対象に行なった新しい調査結果によると、ヒューマノイド(人型ロボット)に非常に良い印象を持っている人は、わずか11%に過ぎないようだ。
人々にヒューマノイドを受け入れさせ、好意を持ってもらい、さらには購入してもらうために、ヒューマノイド開発企業がやるべきことはまだいくつもある。顧客ロイヤルティ(商品やサービスに対する信頼・愛着)を測る標準的な指標である「ネットプロモータースコア(NPS:親しい友人や同僚にどの程度勧めたいかを問うもの)」によると、78%もの人が否定的であるのに対し、推奨派はわずか10%にとどまっている。しかし興味深いことに、人々が実際にヒューマノイドを初めて体験すると、その状況は劇的に変化する。
企業側は、工場や店舗、そして最終的には家庭にも汎用ロボットがすぐに普及するという前提のもと、数百億ドルもの資金を調達してきた。筆者は現在、人型ロボットに関する情報集積ハブである「HumanoidMegaHub」で、ヒューマノイドメーカー380社と861台のロボットを追跡しているが、こうしたヒューマノイドと共存することになる我々一般人が、この状況についてどう考えているのかを知りたいと考えた。そこで筆者は、米国と英国に住む成人1000人を調査してみた。以下がその回答だ。
1. 全体的な感情:好意的 33%、否定的 40%、どちらでもない 27%
2. ネットプロモータースコア:マイナス68 (推奨派10%、否定派78%)
3. 最大の懸念:安全性と、雇用の喪失
4. 主な利用シーン:危険な作業、エンターテインメント、パーソナルアシスタント
全体的な購入意向は平均36%と、高くはない。また、ロボットを一度も使用したことがない人の場合、その購入意向は28%だ。また、人々は一般的に、ヒューマノイドを「有益なもの」というよりは「脅威」、「不可欠」というよりは「不要」、「安全」というよりは「危険」と捉えている。
消費者に受け入れてもらう必要がある産業にとって、これは厳しい船出だ。ヒューマノイドの多くは、産業用や物流用といった商業市場をターゲットとしているが、家庭向けに開発されているものも多い。例えば、ノルウェーと米国に拠点を持つ1Xの「Neo」は、他の用途にも活用されるものの、家庭での使用を明確に想定している。また、米Figure AI(フィギュアAI)が間もなく発売するロボット「Figure 04」も、家庭での使用を主目的としている。同社は、ロボットに家の掃除方法を学習させるために数十億ドルを投じている。
こうした「厳しい状況」を一変させる要素が一つある。それは、人々がヒューマノイドと直接関わった経験があるかどうかだ。そうした経験があると、状況は大きく変わる。
まだ一般には普及していないため当然のことだが、ロボットと接したことがある人はわずか7%にとどまっている。そして、実際に接した人の88%は、その体験を肯定的に評価している。ヒューマノイドを見たこともないし接したこともない人々と比べて、購入意向がほぼ3倍になるのだ。
したがって、ロボットメーカーにとって重要なのは、自社のロボットを工場から外に出し、人々が目にすることができる場所に置くことだ。
HumanoidMegaHubにおける筆者のパートナーであり、「Next Events & Conferences」の最高経営責任者(CEO)でもあるトニー・ロビンソンはこう語る。「私が特に感じたのは、人々を躊躇させているのはコストではなく(中略)信頼だということだ。これは解決可能な問題であり、その問題は、小売店の売り場や接客現場、そして実演の場など、一般の人々の目の前で解決されていく」
ヒューマノイドのネットプロモータースコアは極めて低い。ただし、実際に使用してみると、そのスコアは上昇する。
つまり、慣れ親しむことで軽視や無視が生まれるわけではないということだ。少なくともこのケースでは、慣れることで「欲しい」という気持ちが生まれている。
留意すべきは、これはあくまで相関関係であり、因果関係ではないことだ。もともとテクノロジーに慣れ親しんでいる人々は、そもそもロボットに関心を持ちやすく、ロボットと接する仕事に就いている可能性も高い。こうした要因のいずれかが、彼らが「ヒューマノイドを所有すること」に対して、より前向きで興味を持ちやすい理由となっている。
しかし、その差は無視できないほど大きい。倉庫や店舗にヒューマノイドが現れた際の最初の反応は往々にして緊張だが、そのうちに気にも留めない存在になるという。ロボット業界の経営幹部たちの話とも一致している。
筆者は先日、1Xで製品とデザイン部門を率いるダー・スリーパーと話をした。彼は、これまでに自宅で最先端のヒューマノイドと暮らしてきた、世界でも数少ない人物の一人だ。筆者は彼に、自宅で実際に動作するヒューマノイドに慣れるまでどれくらい時間がかかるのか、また、来客が初めてそれを見たときどのような感想を抱くのか尋ねてみた。
「信じられないかもしれないが、ヒューマノイドの存在を当たり前として受け入れるまでにかかる時間はせいぜい数分程度だ」とスリーパーは語った。「人間がどれほどの順応力を備えているかについて、人々は十分に評価していないと思う。我々の順応力は極めて高い」
興味深いのは、スリーパーが、ヒューマノイドに慣れるまでに最も長くかかったのは、彼の友人たちのガールフレンドたちだった、と付け加えたことだ。これは、調査結果とも相関性がある。男性は女性よりも、ヒューマノイドに対してはるかに好意的だ。男性では肯定的な回答は43%であるのに対し、女性は24%だった。また、男性の平均購入意向は、100点満点中45点であり、女性の29点を大きく上回っている。さらに、否定的な回答をする割合も、女性は男性より5割ほど高い(47%対31%)。
なぜそうなのかはおそらく、今後の研究が必要な、重要な課題となるだろう。
しかし人々は、ロボットに単調で危険な仕事を任せたいと、かなり明確に考えている。危険な仕事が第一に挙げられており、いつの日か、雨どいや屋根の掃除をしてくれるヒューマノイドが手に入るのではないかと期待してしまうほどだ。さらに人々は、ロボットがエンターテインメントにも役立つと語っていたが、それはおそらく、中国発のロボットダンス動画がネット上で話題になったことが影響しているのだろう。
高齢者介護もまた、リストの上位に挙げられている。身内に高齢者がいる人や、自分自身が高齢になった時に、介護施設に入るのではなく住み慣れた家で老後を過ごしたいと願う人にとって、これは重要な問題だ。
興味深いことに、米国人より英国人の方が、ヒューマノイドに対していくらか親しみを感じている。英国人の回答者の39%が肯定的であるのに対し、米国人におけるその割合は28%だ。また、年齢によっても違う。18歳から34歳までの層では、43%が肯定的な見方をしており、購入意向の平均値は42となっている。しかし55歳以上の層では、肯定的な見方をしているのはわずか19%で、「非常に肯定的」と答えたのは3%にとどまり、購入意向は24まで低下している。
ただし、好き嫌いは別として、人々は概して、自分の意思とは関係なく未来が到来しつつあると考えている。回答者の中央値に属する層は、「10年以内にヒューマノイドが日常生活で一般的な光景になる」と予想しており、42%は「5年以内」と答えている。
50年以上かかると考える回答者は、わずか4%にとどまっている。
本文の著作権はYahoo!ニュースにあります。