【黄色いヒガンバナ?】そっくりだけど…その名は「ショウキズイセン」では、白いヒガンバナは?(RSK山陽放送)
3 日前

秋のお彼岸が近づくと、田んぼのあぜ道や土手、墓地などで一斉に咲き始めるヒガンバナ。
ヒガンバナと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、鮮やかな赤い花ではないでしょうか。
今年も、目に鮮やかな赤いヒガンバナに真っ黒くて大きなクロアゲハがやってきているのを見ると、秋を感じます。
ところが先日、黄色や白色のヒガンバナの写真を拝見しました。
ヒガンバナといえば赤じゃないの?黄色や白のヒガンバナ?
赤いヒガンバナばかりを見てきた方にとっては少し不思議かもしれません。
生物に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに聞きました。
■黄色いヒガンバナも存在する?
──黄色いヒガンバナも存在するのでしょうか?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「確かに、ヒガンバナにそっくりな黄色い花があります。
そして、白いヒガンバナのような花を見かけることもあります。
こうしてみると、ヒガンバナにもいろんな色があるんだなぁ、と思いますが、実はそこには少し複雑な事情と、それぞれの素性があります」
■赤いヒガンバナの歴史
(東洋産業 大野竜徳さん)
「まず、私たちがヒガンバナと呼んでいる赤い花。
学名をLycoris radiataといい、中国を中心とする地域が原産と考えられています。
国立科学博物館の情報を見ると、ヒガンバナは古い時代に中国から日本へ持ち込まれたと考えられており、救荒植物として利用されたほか、衣類を作る際の糊の原料として利用されたという説も紹介されています。
ただし、原産地は中国方面、といっても、いつ、どのような経路で日本に入ってきたのかについては、まだはっきりしない部分があります。
ここには、ヒガンバナのちょっと不思議な性質が関係してきます」
■日本に広く分布しているヒガンバナ ほとんど種子を作らない?
──不思議な性質とは?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「日本に広く分布しているヒガンバナは、ほとんど種子を作りません。
その理由は、私たちが普段目にするものが主に三倍体と呼ばれるタイプだからです。
生き物の細胞には、染色体が1組だけではなく、2組、3組……と複数セット存在するものがあります。
私たち人間を含め、多くの生き物は基本的に2組、つまり二倍です。
一方、三倍体のヒガンバナは染色体を3組持っています。
このような植物では、花粉や卵細胞をつくる減数分裂の際に染色体をうまく分配することが難しくなり、正常な生殖細胞ができにくくなります。
そのため、日本で普通に見られるヒガンバナは、ほとんど種子を作ることができません。
種なしの植物になってしまうんですね」
秋のお彼岸が近づくと、田んぼのあぜ道や土手、墓地などで一斉に咲き始めるヒガンバナ。
ヒガンバナと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、鮮やかな赤い花ではないでしょうか。
今年も、目に鮮やかな赤いヒガンバナに真っ黒くて大きなクロアゲハがやってきているのを見ると、秋を感じます。
ところが先日、黄色や白色のヒガンバナの写真を拝見しました。
ヒガンバナといえば赤じゃないの?黄色や白のヒガンバナ?
赤いヒガンバナばかりを見てきた方にとっては少し不思議かもしれません。
生物に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに聞きました。
■黄色いヒガンバナも存在する?
──黄色いヒガンバナも存在するのでしょうか?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「確かに、ヒガンバナにそっくりな黄色い花があります。
そして、白いヒガンバナのような花を見かけることもあります。
こうしてみると、ヒガンバナにもいろんな色があるんだなぁ、と思いますが、実はそこには少し複雑な事情と、それぞれの素性があります」
■赤いヒガンバナの歴史
(東洋産業 大野竜徳さん)
「まず、私たちがヒガンバナと呼んでいる赤い花。
学名をLycoris radiataといい、中国を中心とする地域が原産と考えられています。
国立科学博物館の情報を見ると、ヒガンバナは古い時代に中国から日本へ持ち込まれたと考えられており、救荒植物として利用されたほか、衣類を作る際の糊の原料として利用されたという説も紹介されています。
ただし、原産地は中国方面、といっても、いつ、どのような経路で日本に入ってきたのかについては、まだはっきりしない部分があります。
ここには、ヒガンバナのちょっと不思議な性質が関係してきます」
■日本に広く分布しているヒガンバナ ほとんど種子を作らない?
──不思議な性質とは?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「日本に広く分布しているヒガンバナは、ほとんど種子を作りません。
その理由は、私たちが普段目にするものが主に三倍体と呼ばれるタイプだからです。
生き物の細胞には、染色体が1組だけではなく、2組、3組……と複数セット存在するものがあります。
私たち人間を含め、多くの生き物は基本的に2組、つまり二倍です。
一方、三倍体のヒガンバナは染色体を3組持っています。
このような植物では、花粉や卵細胞をつくる減数分裂の際に染色体をうまく分配することが難しくなり、正常な生殖細胞ができにくくなります。
そのため、日本で普通に見られるヒガンバナは、ほとんど種子を作ることができません。
種なしの植物になってしまうんですね」
■種がないとどうなる?
──種がないとどうなるのでしょう?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「三倍体で最も身近な植物では、私たちが食べているバナナでしょうか。
普段何気なく食べているバナナ、あれはバナナの実ですが、バナナの種が入っていた、という話はまず耳にしませんね。
原種のバナナには黒くて硬い種がありますが、私たちの食用バナナは三倍体。
やはり硬い種子を作ることはほぼできないのです。
よく見ると種ができそうな部位はあるので、バナナを食べるときにちょっと観察してみてください」
■ヒガンバナはどうやって全国に広がった?
──種を作れないヒガンバナは、どうやって日本全国に広がったのでしょう?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「答えは、地下にある球根です。
花が終わると葉が出てきて光合成を行い、地下の球根に栄養を蓄えます。そして球根の脇から新しい球根ができ、少しずつ株が増えていきます。
日本中のあぜ道で毎年咲く赤いヒガンバナは、種からどんどん増えたものではなく、人間によって持ち込まれた球根が、長い年月をかけて増え、さらに人の手によって球根が運ばれたり株分けされたりすることで広がっていったと考えられているのです。
実際、中国、日本、韓国のヒガンバナを調べた研究では、日本と韓国では三倍体ばかりが確認され、中国には二倍体も分布していることが分かっています。
日本の三倍体は、中国から持ち込まれた球根が人間の活動に伴って広がった可能性が指摘されています。
稲作や寺院、人の移動などが、その背景として考えられています。
日本の秋を彩るあの花が、実は古い時代に中国からはるばる人間と一緒に旅をしてきた植物だったと考えると、ちょっと歴史を感じますね」
■黄色いヒガンバナは?
──では、黄色いヒガンバナの正体は何なのでしょう。ヒガンバナの色違い?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「黄色い花を咲かせる代表的な種類の名前は「鍾馗水仙(ショウキズイセン)」です。
ヒガンバナと同じヒガンバナ属の仲間ですが、赤いヒガンバナとは別の種類です。
ヒガンバナより少し大きく、鮮やかな黄色の花を咲かせます。
そして面白いことに、ショウキズイセンも日本を原産地とする植物ではありません。
植物分類データでは、ショウキズイセン(学名Lycoris aurea)の自然分布は、中国中南部からインドシナ方面とされています。
つまり、赤いヒガンバナも黄色いショウキズイセンも、日本の外からやってきた可能性があるヒガンバナの仲間というわけです。
ただし、日本で見られる黄色いヒガンバナがすべて野生のショウキズイセン……でもありません。
園芸目的で植えられたものもありますし、ヒガンバナ属には交雑によって生まれた種類もたくさんあります」
■白いヒガンバナは?
──白いヒガンバナはどうなのでしょうか。
(東洋産業 大野竜徳さん)
「そして白いヒガンバナは、さらにややこしいようです。
これは普通のヒガンバナが曼殊沙華(まんじゅしゃげ)と呼ばれるのに対し、白花曼殊沙華(シロバナマンジュシャゲ)と呼ばれます。
これは単純な色違いでも、普通のヒガンバナそのものでもありません。
シロバナマンジュシャゲは、ヒガンバナに似ていますが、ヒガンバナとショウキズイセンに関係する雑種と考えられています。
国立科学博物館でも、ヒガンバナとショウキズイセンとの自然雑種説が紹介されています。
また、この植物も普通は種子を作らず、球根によって増えていきます」
■ヒガンバナとショウキズイセン 別種なのに交雑?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「ややこしいですが、私たちが呼ぶ犬や猫の雑種は、同じ種の中にある品種同士の組み合わせです。
見た目は全く違いますが、同じ種類のイヌやネコなんですね。
一方、ヒガンバナとショウキズイセンは同属近縁とはいえ別種。
こういった異なる種類の植物の間でも、近縁であればまれに交雑して子孫ができる場合があります。
ただ、種をまたいだ交雑では、遺伝子の違いから孫世代は生まれないものも多くあり、ヒガンバナ×ショウキズイセンのシロバナマンジュシャゲも種を作ることはできないようです。
このため、シロバナマンジュシャゲも球根での株分けで増えていきます。
しかし、別種同士の雑種だから必ず種子を作れないというわけではありません。
植物では、雑種でも繁殖能力を持つもの、逆に染色体の組み合わせなどによって不稔になるものもあります」
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