深海7000mで「クジラの墓場」を発見、500頭近くが眠る異例の規模、なぜここに?(ナショナル ジオグラフィック日本版)
4 日前

潜水艇でオーストラリア西方沖の深海を調査していた研究チームが、500頭近いクジラの死骸からなる広大な共同墓地を発見した。彼らがこの墓地から採取したクジラの骨を分析した結果、約500万年の歳月をかけて堆積したことが分かったという。論文は6月10日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された。
「深海のクジラ化石の集積地としては、私が知る限り最大規模です」と、米ハワイ大学の海洋生物学者であるクレイグ・スミス氏はコメントしている。なお氏は今回の研究に関わっていない。
何もない深海の底に沈んだクジラの死骸は、無人島に突然現れた食べ放題のビュッフェのようなものだ。さまざまな種類の丈夫な深海生物たちが集まってきて、生物学的ゴーストタウンだった海底は活気あふれる生態系へと一変する。だが、こうしたオアシスは「鯨骨生物群集」と呼ばれ、海底に沈んだ1頭のクジラの死骸と、そこに集まった深海生物から構成されていることがほとんどだ。
また、墓地の驚異的な深さも、今回の発見を「真に並外れたもの」にしていると氏は言う。実際、一部の標本は水深7000メートル以上の海底に横たわっている。これまで知られていた鯨骨生物群集より2500メートル以上深かった。
このクジラの墓場には深海生物がひしめき合っており、多くは未知の種とみられている。沈んでいる骨は現代および古代のクジラのもので、新種も1種含まれている。いくつかの種はアカボウクジラ科(Ziphiidae)だった。深海によく潜り、あまり研究されていないグループだ。
「生きているアカボウクジラ類を見られることはめったにありませんが、この場所では死骸が豊富に見つかっているのです」と、「ネイチャー」の解説記事を書いた米カルバート海洋博物館の古生物学者のスティーブン・ゴドフリー氏は言う。氏も今回の研究には関与していない。
潜水艇でオーストラリア西方沖の深海を調査していた研究チームが、500頭近いクジラの死骸からなる広大な共同墓地を発見した。彼らがこの墓地から採取したクジラの骨を分析した結果、約500万年の歳月をかけて堆積したことが分かったという。論文は6月10日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された。
「深海のクジラ化石の集積地としては、私が知る限り最大規模です」と、米ハワイ大学の海洋生物学者であるクレイグ・スミス氏はコメントしている。なお氏は今回の研究に関わっていない。
何もない深海の底に沈んだクジラの死骸は、無人島に突然現れた食べ放題のビュッフェのようなものだ。さまざまな種類の丈夫な深海生物たちが集まってきて、生物学的ゴーストタウンだった海底は活気あふれる生態系へと一変する。だが、こうしたオアシスは「鯨骨生物群集」と呼ばれ、海底に沈んだ1頭のクジラの死骸と、そこに集まった深海生物から構成されていることがほとんどだ。
また、墓地の驚異的な深さも、今回の発見を「真に並外れたもの」にしていると氏は言う。実際、一部の標本は水深7000メートル以上の海底に横たわっている。これまで知られていた鯨骨生物群集より2500メートル以上深かった。
このクジラの墓場には深海生物がひしめき合っており、多くは未知の種とみられている。沈んでいる骨は現代および古代のクジラのもので、新種も1種含まれている。いくつかの種はアカボウクジラ科(Ziphiidae)だった。深海によく潜り、あまり研究されていないグループだ。
「生きているアカボウクジラ類を見られることはめったにありませんが、この場所では死骸が豊富に見つかっているのです」と、「ネイチャー」の解説記事を書いた米カルバート海洋博物館の古生物学者のスティーブン・ゴドフリー氏は言う。氏も今回の研究には関与していない。
2023年2月から3月にかけて、中国科学院深海科学・工学研究所の研究者であるポン・シャオトン(彭暁彤)氏が率いるチームは、インド洋南東部に位置する、海溝や海嶺からなる全長約1200キロメートルのディアマンティーナ断裂帯へ向かった。この海域の最も深いところは水深7000メートルに達し、海洋の最深部を垣間見られる稀有な場所となっている。
この険しい深淵を探索するため、研究チームのメンバーは、ビデオカメラ、ロボットアーム、真空吸引式サンプル採取装置を備えた有人の深海潜水艇「フェンドウジェ(奮闘者)」号に乗り込んだ。潜水艇は深さ約7000メートルのところで、海底に沈んだ古いクジラの骨格が点在しているのを偶然発見する。
クジラの死骸を近くから観察するためにフェンドウジェ号で何度も潜水したポン氏は、「これほど大規模なクジラの墓場が見つかるとは予想していませんでした」と語る。「単独のクジラの死骸がぽつんぽつんと見つかるのは意外ではありませんが、これほどの規模のものは見たことがありませんでした」
研究チームは30回以上の潜水調査を通じて、化石化したクジラの骨や鯨骨生物群集が見つかった地点を485カ所記録した。古代のクジラたちが生息していた時期を特定するために、一部の骨に保存されている特定の元素の含有量を調べたところ、最も古いサンプルは530万年近く前のものであることが判明した。
研究チームは、古代のクジラの骨の間に現代のクジラの骨格がいくつか散らばっているのも観察した。これらの新しい死骸が、ディアマンティーナ断裂帯のクジラの墓場を特異なものにしている。
「化石が集積している場所のほとんどは何百万年も前に形成が止まっていますが、この深海の海溝には今もクジラの骨が追加され続けているのです」とゴドフリー氏は言う。
研究チームが調べた5つの現代の鯨骨生物群集のすべてに、無数の生物がうごめいていた。ある死骸では1平方メートルあたり最大2840匹の深海生物に覆われていた。
死んだクジラの周りで確認された動物は35種類で、クラゲやクモヒトデの他、クジラの死骸に由来する硫黄を含む物質をエネルギーに変換する共生細菌を持つ深海二枚貝もいた。ホネクイハナムシ属もよく見られた。ホネクイハナムシ属は酸でクジラの骨を溶かし、内部の有機物を共生細菌の助けを借りて栄養として利用する。
研究チームは、潜水艇に搭載された真空吸引式サンプル採取装置を使って、白い微生物マットに覆われたクジラの骨から慎重に生物を採取した。チームは21種類の動物からDNAサンプルを採取したが、既知の種と同定できたのは二枚貝の1種(Abyssogena southwardae)のみだった。
スミス氏は、この生物多様性の高さには驚いていない。氏は2015年に発表したレビュー論文で、古代と現代のクジラの鯨骨生物群集が深海生物の進化を促していると主張している。
「けれどもこれらの海溝の鯨骨生物群集は、より浅いところの鯨骨生物群集とは明らかに異なっています」と氏は言い、鯨骨生物群集に現れる動物の種類には水深が影響を及ぼしていると指摘した。
研究チームは潜水艇のロボットアームを使って、いくつかの鯨骨生物群集から骨を回収した。大きな死骸のいくつかはヒゲクジラ類のもので、イワシクジラやクロミンククジラが含まれていた。
しかし、骨格の大部分は、その生態があまり解明されていないアカボウクジラ科のものだった。アカボウクジラはイルカのような吻(ふん)を持ち、吻には緻密な骨が詰まっている。彼らはこの頑丈な吻と牙のような歯を使ってライバルを撃退し、1時間以上も息を止めて深く潜ることができる。
吻の骨密度が高いため、アカボウクジラの頭骨には、海底に長期間横たわっていたにもかかわらず、驚くほど良好な状態を保っていたものもあった。さらに、長い歳月の間に、多くのクジラの頭骨は鉄マンガン酸化物の黒い殻で覆われていた。ゴドフリー氏はこの鉱物の殻を、頭骨を保護する「石棺」に例えている。
いくつかの頭骨は、現生種のアカボウクジラであるタイヘイヨウオウギハクジラ(Mesoplodon bowdoini)とヒモハクジラ(Mesoplodon layardii)のものだった。
また、絶滅したアカボウクジラの標本の中から1つの新種を同定し、プテロケトゥス・ディアマンティナエ(Pterocetus diamantinae)と命名した。
ゴドフリー氏は、今回発見されたアカボウクジラの標本が、この謎に包まれた深海潜水性海洋哺乳類が極端な生活様式を進化させた過程を解明する手助けとなることを期待している。
科学者たちは、ディアマンティーナ海域に多くの鯨骨生物群集が残っている理由は、その位置と水深にあると考えている。
インド洋のこの海域は、数種のヒゲクジラの回遊ルートに沿っている上、深海に生息するイカや魚がアカボウクジラを引き寄せている。一部のクジラは、潜水限界深度を超えるこの海域の海溝へ狩りに出かけた際に死亡した可能性が高い。自然死に加えて、疲労や減圧症で息絶えたクジラがV字型の海溝へと流れ込み、数百万年かけて集積していったと研究チームは考えている。
研究チームは、南アフリカやイベリア半島の沖合の深海など、アカボウクジラが集まる他の海域にも、同じような古代のクジラの骨の集積地がある可能性が高いと推測している。
今回の発見がきっかけとなって、他の研究者も深海でクジラの集団墓地を探すようになることをゴドフリー氏は期待している。「他の海溝にも同様の鯨骨生物群集がある可能性は十分あります」。未発見のクジラの集団墓地にどれほど多くの新種が眠っているのか、誰にも分からない。
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