【ラグビー日本代表】27年W杯開幕あと1年 エディーHCが目指すものは「最も印象に残るチーム」(スポニチアネックス)
59 分前

ラグビーワールドカップ(W杯)オーストラリア大会は、ちょうど1年後の27年10月1日に開幕する。24年に9年ぶりに復帰した日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(66)がこのほど報道各社の合同取材に応じ、日本を率いて挑む2度目の大舞台への思いを語った。
――W杯開幕が1年後に迫った。日本代表は7~9月のテストマッチ8試合で4勝4敗。対戦時に世界ランキングで上位だったイタリアとフィジーにも勝った。現状の手応え、そして前回率いた15年W杯の1年前と比較して、どのような感触を持っているか。
「いま15年の話しが出たが、そこと今は比較対照にならない。なぜなら、特に今年は若いチームだからだ。(ヘッドコーチに復帰した)24年からゼロからスタートして積み上げてきた。3年目に成長が安定化し、パフォーマンスも安定化する。強豪と接戦できたり、上位に勝てる時期になる。肌感覚だが、残り12カ月は、あっという間に過ぎ去る。だからこそ1日1日が大事だし、日々成長しないといけないので、緊張感が帯びてくる。でもその緊張感はいいこと。もし緊張感がなく仕事と向き合っているなら、それは仕事をするに値しない。興奮を感じるし、間近に迫っていると感じる。選手を見てもいろんな違いを感じる。昨年のパシフィック・ネーションズカップ(PNC)と今年を比べても、選手はよりフォーカスしていて、一点集中している。なぜか。目指しているところが現実味を帯びてきたからだ。目に見えない無形なものを積み上げている感覚になる。そしてW杯初戦を迎えた時には、本当にベストの状態で挑んでやっていくんだと選手も思っているし、チームも思っている。こんどチームが集合した時は、コーチ陣として選手が日々成長できる環境を作りたい」
――以前、開幕1年前に最終メンバー33人の8割の顔ぶれを固めたいと言っていた。現状はどうか。
「結構、いい感じ固まっている」
――W杯で見せたい日本代表の姿や、具体的な目標は。
「大会を象徴するような、最も印象に残るチームを目指している。全てのラグビーファンが見たい、あわよくばプレーしたいと思うような、興奮する、情熱が伝わるチームになることだ。ラグビーファンだけではなく、日本全体にいい影響がある、インスパイアできるチームを作りたい。それを成し遂げるためには、さまざまな状況への適応能力を養い、いかなる逆境、苦しい状況でも強固に戦い続ける、屈しない態度でやり抜く、そして超速ラグビーを体現できるチームを作ることが目標だ」
――日本代表のHCに復帰後は、15年以来、久しぶりに日本人を指導してきた。当時と比べて、自身の指導で変化を加えたところや、自分自身が成長したと感じるところはあるか。
「日本だけではなく、世界各国で言えるが、世代が変わっている。日本ではラグビー革命が起きていて、プロ選手がかなり増えた。15年はほとんどが社員選手で、ラグビーに関しては夢中でやっていたと思う。これからの試練は、プロになった選手たちが夢中になって、がむしゃらにラグビーに取り組めるかどうかだと思う。それがこの世代には大事だし、選手に促している。自発的にモチベーションを高め、原動力があり、コントロールできるところをコントロールしていく。世界でもそうだが、日本ではプロ選手が多くなったのが最も大きな変化。どの競技でも、どの国でも、プロ化して10~15年くらいは難しい時期を過ごす。なぜなら選手の取り組みが変わり、姿勢が変わるからだ。アマの時は夢中に、競技が大好きだからやるが、プロになりお金を得るためにやると、熱量や愛情が失われる。だが(PNC決勝の)フィジー戦を見ると、選手は切磋琢磨(せっさたくま)して、ゴール前でもみんなで守っているところを見ると、本当に夢中でやっていたと思う。今のチームも社員選手がいるが、ラグビーをしていた方が生き生きとしていると思う」
――ラグビーの質は23年大会に比べ、27年大会はどんな変化があると予想しているか。
「変化の大きな部分として、ボール周りのコンテストが激化している。特に地面でのファイトが容赦なく徹底的に行われている。トップレベルの試合では、簡単にボールが出ることはない。より必要なのがブレークダウンのスキル。同時に空中のスキルも必要。フィジー戦はハイボールを2回落としたので、相手に自陣に入られ、7分間くらい過ごさせてしまった。国内のリーグワンは空中戦はこだわっていないので、選手をテストマッチレベルで強化しないといけない。また現在は南アフリカが世界のラグビーを圧倒している。以前のニュージーランドは、11~19年に80%の勝率を誇り、ラグビー界に君臨していた。今は南アフリカが75%の勝率で、世界を圧倒している。南アフリカが何をしたかというと、元々の強みに力強いディフェンス、キックからの展開、ちょっとでもゲームが崩れたところで、素速くプレーをすることを取り入れた。クイックに展開するところは、日本でも取り入れて、強化できる部分だと思う。フィジー戦でもそういう場面が何度かあったが、そのチャンスを逃したのは残念だ。仕掛けられるところで、選手が守りに入った。これからは崩れた状況でクイックに展開して、ディフェンスがセットする前の2つのラックくらいでスコアに持って行かないといけない」
――SOの選手選考をどう考えているか。
「今のチームは幸運なことに、2人の世界レベルの10番がいる。スンシン(李承信)と伊藤(龍之介)だ。世界のトップ10の国を見渡し、どの国に安定した10番がいるかと考えると、スコットランドのフィン・ラッセルだけだ。他国はコロコロと選手を変えている。スンシンは昨季活躍し、(25~26年の)リーグワンでは素晴らしい活躍を見せた。今はアキレス腱のケガから復帰に向かっている。伊藤も(7~9月にテストマッチ)8試合に出たが、ハイレベルなテストマッチで通用することが証明された。理想は(SOが)3人いてほしいので、これからも引き続きリサーチしたい」
――今年はワーナー・ディアンズや斎藤直人が主将を務めた。ヘッドコーチが主将に求めていることは。またそこに以前と変化はあるか。
「主将の役割は、時代が変わっても変わらない。コーチの声にならないといけない。コーチの目が届かないところで、周りの選手たちの行動ができているか、高いスタンダードでできているか、仕切るところが主将の役割だと思う。コーチから主将へのコミュニケーションの取り方は、強いて言うなら、あまり直接的ではなく、よりガイドする、導く手法に変わっている」
――なぜ以前と比べ、ガイドするような接し方に変化したのか。
「バランスを取っている。さまざまな状況で、何が求められるかは変わる。こうやれと一方的に伝えるよりは、どこを見るかとか、どこを見るべきかと質問を投げかけるような形にしている。その質問に対して、各々の考え、本人がどう思ってどういう判断をするかを引き出して、こちらがフィードバックする形にしている。プロセスとしては時間が掛かるが、今の若い世代には効果的なやり方だと思う」
――今年のサッカーW杯では、最年長39歳(大会当時)の長友佑都がメンターとして役割を果たした。彼のようなベテランの必要性をどう考えているか。
「その観点で言えば、リーチ(・マイケル)がもしフィットしていて、コンディションが良く、ポジションに値する状態ならば、彼が入ってくると思う。そしてメンターの役割も担う。彼は過去3シーズン、そういう役割をやっていたが、今は休みを与えている。また11月に招集するかを検討したい。彼はそういう役割をやってくれていて、チームに非常に大きな価値をもたらしているし、他にそういう選手はいない。若い頃にニュージーランドから来日し、日本で生活し、日本でプレーすることにコミットして、日本語も流ちょうに話せるので、彼のような貴重な存在が必要だと思う。(野球の)侍ジャパンは、WBCであまり出場機会のなかったダルビッシュが他のチームメートを集めて、チームの一体感や結束力を高めていた。それが結果にもつながった部分もあると思うので、そういう存在が必要かと言われれば、その通り、必要だと思う」
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