《ブラジル》エプソンとCIが水資源保全=アマゾンで先住民族と共に=125ヘクタールの森林再生へ(ブラジル日報)
56 分前

8月26~29日、セイコーエプソン株式会社(以下エプソン)と国際環境NGOコンサベーション・インターナショナル(CI)が連携する水資源保全事業を、CIジャパンの高松美穂デベロップメント・マネジャーらが視察した。事業は、パラー州のカヤポ民族が暮らすメンクラグノチ先住民族居住区で進められている。
エプソンは2025年、CIと水資源保護を目的とする3年間のパートナーシップを締結。2028年3月までに127万ドルを寄付し、主要製造拠点を置くブラジル、フィリピン、インドネシアで、水源地の回復や水質改善、森林再生などを支援する。
同社は長野県の諏訪湖畔で創業し、「絶対に諏訪湖を汚してはならない」という創業者の想い意志のもと、水資源の保全に長く取り組んできた。気候変動などによって世界的に水資源をめぐるリスクが高まる中、その取り組みを海外にも広げている。
カヤポの人々が暮らす約1100万ヘクタールの領域には、広大な森林が広がる。その規模はポルトガルの国土を上回り、事業地はその一角に位置する。
CIなど200以上の団体・研究者らがCOP30に向けてまとめた提言書によると、アマゾンの森林から放出される水蒸気は「空飛ぶ川」となって南米各地に運ばれ、南米の降雨量の約半分をもたらすとされる。この水循環は、約3兆ドル規模の農業生産をはじめ、水力発電や人々の暮らしを支えている。
しかし近年、干ばつや高温化による森林火災リスクや、違法な金採掘などによる水質汚染が大きな脅威となっている。2024年の大規模火災では、事業地周辺でも東京23区の2倍以上に相当する約14万ヘクタールが焼失した。また、かつて乾季にも水が残っていたイガラペ(小川)が完全に干上がるようになるなど、水環境にも変化が表れている。
本事業では、カヤポの人々と協力し、アグロフォレストリーと自然の回復力を生かすANR(自然再生の促進)を組み合わせ、125ヘクタールの森林再生を目指す。流域では水質や水位を継続的に調査し、森と水の双方から生態系の回復を進めている。
高松氏によると、村内に整備した苗床では、在来種を中心に約7千本の苗木を育成。これまでに森林へ植栽した苗木の定着率は約90%に達しているとのことだ。ピキやジャトバー、クマルなど、食用や収入源となる樹種も取り入れている。森林再生に必要な在来種の種子は住民自らが森で採取し、一部では外部への販売も始まるなど、森林再生を地域の生計向上にもつなげているという。
一方、森林再生の効果が水環境に表れるまでには時間を要するため、今後も長期的に水質や水位の変化を追うとともに、住民への聞き取りを通じて地域の変化を記録していくとのことだ。
近年、国際社会では、気候変動対策や森林・生物多様性保全を進めるうえで、先住民族が守り続けてきた土地や暮らしを尊重し、その役割を重視する認識が高まっている。昨年ベレンで開催されたCOP30でも、森林保全や気候変動対策における先住民族の役割が改めて強調された。
「日本では、森林保全と先住民族のつながりは、まだ十分に知られていないと感じます。今回の事業も、先住民族支援を出発点にしたものではなく、水や森林を守る必要性の高い地域を見ていく中で、その土地を守ってきたカヤポの人々との取り組みにつながりました。結果として、日本企業の支援が、先住民族を主体とした森林再生や水資源保全につながっていることには、大きな意義があると思います」と高松氏は語った。
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