AI生成タンパク質に「見えない透かし」を埋め込む「SynthID Bio」が登場、機能を保ったまま生成元を確認可能に
48 分前
Google DeepMindが2026年9月30日、AIが設計したタンパク質などに検出可能な「透かし」を埋め込む技術「SynthID Bio」を発表しました。タンパク質の働きを維持しながらAIによる設計物だと識別できる仕組みで、デジタル上のデータだけでなく実際に合成されたタンパク質からも透かしを確認できるとされています。
生成AIは文章や画像だけでなく生物学の分野でも利用が進んでいます。Google DeepMindはタンパク質の立体構造を予測するAlphaFoldや、目的のタンパク質に結合する新しいタンパク質を設計するAlphaProteoなどを開発しており、AIを使って自然界に存在しない新しい生体分子を設計することも可能になっています。
新しいタンパク質を簡単に設計できるようになると「見慣れない配列が自然界から見つかったものなのかAIが作ったものなのか」という問題も生じます。DNA合成企業は注文された配列を既知の危険な配列データベースと照合していますが、AIは既知の配列とほとんど似ていない新しい配列を生成できるため、従来の照合だけでは由来を判断しにくくなる可能性があります。また、AIが生成した立体構造が適切にラベル付けされないまま公開データベースへ登録されれば後続の研究にも影響しかねないとのこと。
そこで登場したのがSynthID Bioです。Google DeepMindは以前から画像・音声・動画・文章に人間には気付きにくい透かしを埋め込む「SynthID」を開発しており、SynthID BioはSynthIDの考え方を合成生物学へ拡張した概念実証だと述べられています。
タンパク質は複数のアミノ酸が並んでできています。SynthID Bioでアミノ酸配列に透かしを入れる場合は、タンパク質の性質を大きく変えない範囲で配列生成時のアミノ酸の選択をわずかに誘導し、後から統計的に検出できる特徴を配列へ忍ばせます。立体構造データの場合は原子の座標をわずかに調整することで同様の識別情報を組み込む仕組みになっています。
透かしを入れても本来の働きを失わない点が重要とのこと。Google DeepMindはタンパク質設計AIのAlphaProteoと、アミノ酸配列を生成するProteinMPNNを組み合わせてVEGF-A、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質RBD、PD-L1という3種類の標的に結合するタンパク質を設計しました。実験室で調べた結果、透かし入りタンパク質は透かしなしのタンパク質と同程度の設計成功率や結合の強さを示し、配列の多様性も維持されたとのことです。Google DeepMindは「透かしを持ちながら生物学的に機能するタンパク質結合分子」を作成できたと報告しています。
AlphaFold 3によるタンパク質の立体構造予測にもSynthID Bioを組み込めます。Google DeepMindはAlphaFold 3内部の拡散ネットワークの一部を微調整し、モデル自体に透かしを生成する仕組みを組み込みました。発表によると予測精度を維持しつつほぼ完全に透かしを検出でき、データに小さなノイズを加えたり座標を少し変更したりしても検出できたとのこと。
AlphaFold 3による予測構造、実際の構造、透かし入り構造を並べるとこんな感じ。
AI生成配列から検証可能な透かしが見つかれば、安全対策を備えた特定のモデルから生成された配列だと確認するための手掛かりになるため、Google DeepMindはSynthID BioがDNA合成時のスクリーニングに役立つと述べています。Protein Data BankやUniProt、GenBankといった生物学データベースでもAI生成データを適切に識別する用途が想定されています。
ただしSynthID Bioだけでバイオセキュリティ上の問題を解決できるわけではなく、意図的な改変に対して透かしをさらに強くすることなどが課題に挙げられており、生成元を記録するメタデータやAI生成生物データの登録システムとの併用も検討されています。
さらにGoogle DeepMindはスタンフォード大学およびArc Instituteと共同で、ゲノム生成AI「Evo 2」が設計したバクテリオファージのゲノムにもSynthID Bioを組み込んでいます。初期の実験では透かし入りバクテリオファージが細菌培養環境で機能することが確認されており、今後はタンパク質だけでなくより複雑な生物学的データへの応用について技術論文を公開する予定だとGoogle DeepMindは述べています。
You can read the machine translated English article SynthID Bio has emerged, which embeds an… .
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