「お願いだよ…今すぐ150万円の示談金が必要なんだよ!」資産1,200万円・年金暮らしの68歳男性が名演技の詐欺電話を追い払った〈究極の揺さぶり〉【CFPの助言】(THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン))
44 分前

大阪府に住む山田一郎さん(仮名・68歳)は、妻に先立たれ、現在は一人暮らしです。年金は月20万円。現役時代から少しずつ貯めてきた預貯金は約1,200万円あり、住宅ローンもすでに完済しています。
ある平日の午前11時ごろ、自宅の固定電話が鳴りました。
「お父さん、僕だけど……」
電話の相手は「僕」とだけ名乗り、立て続けに話し出しました。
「どうしよう……痴漢の疑いをかけられて、相手への示談金として150万円を払わないといけないんだ。今日中に全額払わないと警察に突き出すって言われてるんだけど、まとまったお金がなくて」
激しく動揺している「息子らしき相手」の話を聞いているうちに、一郎さんの中にある違和感が出てきました。
「声は似ているけど、妙に芝居がかっている……」
「お前、なんかちょっといつもと違うな」と一郎さんがたずねると、相手は「動揺してていつも通りの話し方なんてできないよ。本当に緊急事態なんだよ」と大げさにため息をつきます。一郎さんは心の中で「いやいや、うちの息子、こんなに演技派だったかな」と思ったそうです。
相手の言動に違和感を覚えた一郎さんでしたが、その場で相手を問い詰めるのではなく、まずは話を聞きながら息子本人なのかどうかを確かめようとしました。
痴漢の疑いをかけられていることが本当なら、むしろ警察に相談したほうがいいんじゃないかと一郎さんが助言すると、「警察に行っても疑いが晴れるわけじゃない」「会社に知られたくないから警察には行きたくない」と答えます。
「じゃあ、俺が今からそっちに行くから、場所を教えてくれないか」
一郎さんがそう言うと、これまでスラスラと話していた電話口の相手が急に口ごもりました。演技ではなく、今度は明らかに動揺していたのです。
「お前が本当に困っているなら、今から会いに行くから居場所を教えてくれ。それができないなら、自分でどうにかするしかないぞ」
すると相手は、何も言わずに電話を切りました。
電話を切られたあと、一郎さんは「もしかしたら、息子は本当に困っていたのかもしれない」と一抹の不安に襲われます。これまでは自分から連絡することはほとんどなかったのですが、一郎さんは意を決して息子に電話をかけることにしました。
数回の呼び出し音のあとに、息子の声が聞こえます。今日は在宅で仕事をしているのか、電話口からは子どもが話す声が聞こえてきます。
「急にどうしたの? 何かあった?」と心配する息子の反応を受けて、一郎さんは数分前の電話が詐欺だったことを確信します。念のために息子に一部始終を話すと、「そんな電話してないよ」と言われました。
大切なのは、「電話の相手が本当に家族なのか」を、その電話だけで判断しないことです。
たとえば「お金が必要」「今日中に振り込んで」「誰にも言わないで」といった話が出たら、一度電話を切り、本人に普段使っている電話番号から確認する方法があります。
「お金の話が出たら、いったん電話を切って確認する」というルールを家族間で事前に決めておくのも有効です。
警察庁によると、2026年上半期のオレオレ詐欺は4,466件発生しており、被害額は84.2億円(前年同期比+5.5億円 / +7.0%)となっています。
自分は騙されないと思っていても、突然電話がかかってくれば判断を急かされることがあります。だからこそ、「いったん電話を切る」という行動そのものを決めておくことが大切です。
詐欺を防ぐうえで大切なのは、相手の話を完璧に見破ることではなく、「その場でお金を動かさない仕組み」をつくっておくことです。
たとえば、家族から突然お金を求められた場合は、いったん電話を切って、本人の登録済みの電話番号にかけ直すというルールを決めておきます。さらに、家族間で合言葉を決めておけば、本人確認の手段を増やせます。
今回のように、犯人の「わざとらしい演技」がきっかけで詐欺に気づけることもありますが、犯人の話し方や声だけを判断材料にするのは危険です。
「もしかしたら詐欺かもしれない」と思った時点で、電話を切って確認する。この一呼吸が、これまで築いてきた大切な資産を守ることにつながります。詐欺対策では、怪しい電話がかかってきたときの対応ルールを家族で共有しておくことが重要だと考えましょう。
トータルマネーコンサルタント
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