「こんなことがあるのか」日本男子が中国撃破で示した新時代の到来 “負けた後がとてつもなく強い“王国のリベンジは…卓球界は“歴史の分岐点”へ【アジア大会】(CoCoKARAnext)
53 分前

アジア競技大会卓球競技の男子団体決勝で、日本は3-2の激闘で中国を破り、60年ぶりの優勝を果たした。60年前の同大会には中国は政治的理由で不参加だったため、中国を破っての優勝は大会史上初となる。この規模の大会の男子団体で日本が中国を破ったのは、1957年世界選手権と1972年アジア選手権のみである。つまり、ほとんどの年齢層の人は日本が中国に勝ったという報に接したことがない。勝つどころか、中国から勝ち点を挙げることさえ難しく、2010年代の10年間をとおして、リオ五輪で水谷隼が許昕に勝った1点のみである。
それが2020年代に入り、世界選手権とアジア選手権で日本が中国を2-3の土壇場まで追い詰めることが立て続けに起こっており、打倒・中国の“水位”がかつてないほどに高まっていた。力が拮抗しているのだから、確率的に考えれば、それが起こるのは時間の問題だったと言えるが、それでもラストで温瑞博が松島のバックドライブをネットにかけた瞬間は、見たことが信じられない思いだった。「こんなことがあるのか」と。
それにしても張本の団体戦での強さは格別である。今大会を含め、2020年以降に日本は男子団体で中国から合計7点を取っているが、そのうちの実に5点が張本によるものなのだ。これに、2点を取っている松島、その他の選手がさらに伸びて行くと、日本男子が本格的に中国を凌駕する時代の到来も決して夢ではない。
しかし中国は一度負けてからが強い。恐ろしく強い。男子団体で日本に敗れた中国は今大会、女子団体と男女シングルス、男女ダブルス、混合ダブルスの6種目を総ナメにした。優勝しただけではない。男女ダブルス決勝こそ日本vs中国となったが、男女シングルスと混合ダブルスの3種目が中国選手同士の決勝となった。
歴史的にも中国は、男子団体に敗れた後がとてつもなく強い。1979年世界選手権でハンガリーに敗れたとき、個人戦ではそのハンガリー勢全員を中国選手が倒し、次回1981年には世界選手権史上初の7種目完全制覇という徹底的なリベンジを果たした。中国が次に7種目制覇をしたのは、男子団体でスウェーデンに3連覇を許した後の1995年天津大会だったし、その次に7種目を制覇したのは、男子団体で再びスウェーデンに敗れた後の2001年大阪大会だった。
とにかく中国は、男子団体で敗れた後は、それまでにも増して尋常ではない強さで復活してくるのだ。それは男子団体を他のどの種目よりも重視しているということであり、そこで負けた屈辱は、他の6種目に優勝したところで解消されないのだろう。それが人口約15億人の国の国技ということである。だからこそ、今回の日本の勝利の価値はとてつもなく大きい。
10月19日から始まるアジア選手権、さらには2028年世界選手権福岡大会(団体戦)そしてロサンゼルス五輪2028と、中国が倍返しでのリベンジを誓っていることは間違いない。今回の日本の勝利が、中国を本気にさせて、さらに強固な中国一強時代を招くだけの結果になるのか、それともその時代を終わらせるのか。そんな時代の分かれ目に、いま日本の卓球界はある。
[文:伊藤条太(卓球コラムニスト)]
アジア競技大会卓球競技の男子団体決勝で、日本は3-2の激闘で中国を破り、60年ぶりの優勝を果たした。60年前の同大会には中国は政治的理由で不参加だったため、中国を破っての優勝は大会史上初となる。この規模の大会の男子団体で日本が中国を破ったのは、1957年世界選手権と1972年アジア選手権のみである。つまり、ほとんどの年齢層の人は日本が中国に勝ったという報に接したことがない。勝つどころか、中国から勝ち点を挙げることさえ難しく、2010年代の10年間をとおして、リオ五輪で水谷隼が許昕に勝った1点のみである。
それが2020年代に入り、世界選手権とアジア選手権で日本が中国を2-3の土壇場まで追い詰めることが立て続けに起こっており、打倒・中国の“水位”がかつてないほどに高まっていた。力が拮抗しているのだから、確率的に考えれば、それが起こるのは時間の問題だったと言えるが、それでもラストで温瑞博が松島のバックドライブをネットにかけた瞬間は、見たことが信じられない思いだった。「こんなことがあるのか」と。
それにしても張本の団体戦での強さは格別である。今大会を含め、2020年以降に日本は男子団体で中国から合計7点を取っているが、そのうちの実に5点が張本によるものなのだ。これに、2点を取っている松島、その他の選手がさらに伸びて行くと、日本男子が本格的に中国を凌駕する時代の到来も決して夢ではない。
しかし中国は一度負けてからが強い。恐ろしく強い。男子団体で日本に敗れた中国は今大会、女子団体と男女シングルス、男女ダブルス、混合ダブルスの6種目を総ナメにした。優勝しただけではない。男女ダブルス決勝こそ日本vs中国となったが、男女シングルスと混合ダブルスの3種目が中国選手同士の決勝となった。
歴史的にも中国は、男子団体に敗れた後がとてつもなく強い。1979年世界選手権でハンガリーに敗れたとき、個人戦ではそのハンガリー勢全員を中国選手が倒し、次回1981年には世界選手権史上初の7種目完全制覇という徹底的なリベンジを果たした。中国が次に7種目制覇をしたのは、男子団体でスウェーデンに3連覇を許した後の1995年天津大会だったし、その次に7種目を制覇したのは、男子団体で再びスウェーデンに敗れた後の2001年大阪大会だった。
とにかく中国は、男子団体で敗れた後は、それまでにも増して尋常ではない強さで復活してくるのだ。それは男子団体を他のどの種目よりも重視しているということであり、そこで負けた屈辱は、他の6種目に優勝したところで解消されないのだろう。それが人口約15億人の国の国技ということである。だからこそ、今回の日本の勝利の価値はとてつもなく大きい。
10月19日から始まるアジア選手権、さらには2028年世界選手権福岡大会(団体戦)そしてロサンゼルス五輪2028と、中国が倍返しでのリベンジを誓っていることは間違いない。今回の日本の勝利が、中国を本気にさせて、さらに強固な中国一強時代を招くだけの結果になるのか、それともその時代を終わらせるのか。そんな時代の分かれ目に、いま日本の卓球界はある。
[文:伊藤条太(卓球コラムニスト)]
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