【インタビュー】『暗殺者(たち)』の監督「朴正煕黒幕説を基にした映画ではない」(ハンギョレ新聞)
51 分前

映画『暗殺者(たち)』が政治的な論争に巻き込まれた。保守野党「国民の力」の議員たちが「歴史歪曲」だと主張し、一部のネットユーザーは「星点テロ」(悪意を持った第三者が組織的または一方的に最低評価を大量に投稿し、対象の評価や社会的信用をおとしめる行為)に乗り出した。1974年のユク・ヨンス女史(朴正煕大統領の夫人)の襲撃事件を題材にしたこの映画が、単独犯に疑問を投げかけながら中央情報部や朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が関与したかのように描いたというのが彼らの主張だ。政界の一部では上映中止や法的処罰まで持ち出して圧力をかけている。同作を作ったホ・ジンホ監督は30日、ハンギョレとのインタビューで、「批判はいくらでも受け入れる」とし、「ただし、ある作品に同意できないことと、その作品が存在してはならないということは、全く別の話だと思う」と語った。
「映画が朴正煕大統領を事件の黒幕のように描いているという主張は受け入れがたいです。自身も命を落とす可能性のある状況で、果たしてそのような決断を下したのでしょうか。論理的にも納得しがたいと考えたため、そもそもそのような前提のもとで映画を作ったわけではなく、映画もまたそのような結論には至っておりません」
ホ監督は、「この映画は、すでに『それが知りたい』など、さまざまな番組や資料を通じて提起されてきた疑問を出発点とし、『あの日、何が起きたのか』を振り返った作品だ」とし、「疑問を投げかけることと、一つの答えを事実として断定することは全く別の問題なのに、今その2つが同じであるかのように語られており、かなり困惑している」と話した。
ホ監督は「実際の事件や実在の人物を扱っているだけに、不快に感じる方もいらっしゃるかもしれない。特に実際の事件で傷ついた方々や遺族は、はるかに敏感に受け止められるだろうと思う」としつつも、「しかし、この映画を特定の政治的目的を持って制作された作品だと断定するのは受け入れがたい」と強調した。
歴史的事実を題材とする劇映画において、どこまで事実に基づき、どこから想像を織り交ぜるかという境界線は、難題であると同時に重要な問題だ。ホ監督はこれに関連し、「実際の事件や確認された大きな歴史的事実は尊重しつつ、記録では説明されていない部分や当時提起されていた疑問を映画的な領域に取り入れた」とし、「『私たちが知っていることが、あの日のすべてなのだろうか』という問いを投げかけることができなければ、歴史的事件を題材にした劇映画で取り上げられることは非常に限られてしまう」と語った。
歴史的事件に対する芸術的な再解釈が政治的な論争に発展し、創作の自由が萎縮するのではないかという懸念も高まっている。ホ監督は、「表現の自由に何の責任も伴わないとは考えていない。特に実在の人物や歴史的悲劇を扱う際は、創作者がはるかに重い責任感を持たなければならない」としつつも、「しかし、責任があるということと、問いを投げかけてはならないということは別の問題だ」と指摘した。
「『この話をすると(左右の)どちらに見えるだろうか、このシーンを入れればどんな政治的攻撃を受けるだろうか』を先に考え始めると、創作者は結局、安全な話しかできなくなってしまいます。歴史を扱った映画が必ずしも一つの解釈しか持ってはいけないとは思いません。互いに異なる映画が作られ、互いに異なる問いを投げかけられるべきです。そして、その映画に同意できなければ批判すれば良いのです」
ホ監督は最後に、「映画をご覧になってから判断していただきたい。観て不快に感じたなら、なぜ不快だったのかを話していただき、同意できないなら批判していただいても構わない。それは当然、観客の役目だ」とし、「ただし、誰かが要約した数シーンや政治的な解釈だけで、この映画全体が決めつけられることがないよう願いたい」と語った。
キム・ウンヒョン シニア記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
本文の著作権はYahoo!ニュースにあります。