実装面積を57%削減、ルネサスがAIデータセンター向け両面冷却GaNを開発
45 分前
・6kWの800V入力48V出力リファレンスデザインで2.6kW/in 3 の電力密度を実現
ルネサス エレクトロニクスは9月30日、AIデータセンターの800V高電圧直流(HVDC)アーキテクチャにおける高密度電力変換に向けたパワー半導体として、両面冷却対応の650V耐圧GaNデバイス「TP65H020G4PLSGBD」のサンプル提供を開始したことを発表した。
同製品はDモードのGaNデバイスで、第4世代プラス(Gen IV Plus)GaNアーキテクチャを採用。8mm×8mmの小型PQFNパッケージで20mΩの低オン抵抗を実現し、最大700Vでの動作に対応する。
主要なAIデータセンターのOEMおよびODM向けにサンプル出荷を開始しており、2027年半ばの量産開始を予定する。
主な用途として、800Vから48V、12V、6Vへ電圧を変換するDC/DC中間バスコンバータ(IBC)の降圧ステージや、サイドカー電源ラックのバッテリバックアップ(BBU)、コンデンサバンク(CBU)などを想定している。
生成AIの普及とAIアクセラレータの高性能化に伴い、AIデータセンターではラック当たりの電力需要が約100kW級からメガワット級へ増加することが見込まれている。
電力需要が増加するほど、電源変換回路の実装スペースや発熱がシステムの演算密度を制約する。このため、NVIDIAをはじめとするAIインフラ企業は、ラック近傍まで800Vの直流で電力を供給し、配電時の電流と損失を抑える電源アーキテクチャを推進している。
今回の新製品は、パッケージの上下両面から熱を放出できる両面冷却構造を採用したことで、従来の上面冷却構造と比べ、上面側の熱インピーダンスを10%低減できるとルネサスでは説明している。
8mm×8mmのPQFNパッケージは、既存の10mm×15mmのTOLTパッケージと比べて実装面積を57%削減。電源基板上でGaNデバイスが占める面積を抑えることで、限られたスペースに複数のデバイスを配置し、高い電力密度を実現できるようになるともしている。
また、主要なAIインフラ企業と共同でパッケージ仕様を策定し、業界標準のPQFNフットプリントを採用したともしている。複数のサプライヤから対応製品を調達しやすくし、AIデータセンター事業者や電源メーカーにおける供給網の柔軟性を高める狙いもある。
同製品に採用されているのは、同社が2024年に買収したTransphormの技術を基盤とする第4世代プラス650V耐圧GaN技術。低ゲート電荷と低出力容量を実現したほか、逆回復電流を最小限に抑えたフリーホイールダイオードを内蔵する。また、高いしきい値電圧を確保し、負のゲートバイアスを必要としない構造としてるとする。
DモードのGaNデバイスと低耐圧Si MOSFETを組み合わせるカスコード構造を採用しており、EモードGaNで必要になる専用ドライバを使わず、標準的なシリコンゲートドライバで駆動できるという。
さらに、MHz帯での高速スイッチングに対応し、電源回路に用いるトランスやインダクタ、コンデンサなどの受動部品を小型化できるため、電源システム全体の実装面積とBOMコストの削減にもつなげられるともしている。
ルネサスでは、同製品を搭載した6kW対応の800V入力48V出力LLC直流トランス(DCX)リファレンスデザインも開発済みで、リファレンスデザインでは、同社のマイコン「RA6T3」で制御し、2.6kW/in 3 の電力密度を実現。モジュール単位の試験では、全負荷時の効率が同等のTOLTパッケージを用いた基板と比べて0.21ポイント高いことを確認したという。
また、8mm角の小型パッケージを採用したことで、複数のGaNデバイスを電気的・熱的にバランスが取れるよう配置できるようになり、基板面積の削減に加え、デバイス間における電流や熱の偏りを抑え、高密度な電源モジュールを構築できるようになっているとする。
このほか、800V入力を12Vまたは6Vへ変換する既存のIBCリファレンスデザインにも適用することで電力密度や効率、拡張性を高められるともしている。
なお、ルネサスでは、GaNデバイス単体だけでなく、補助電源用コントローラ、ゲートドライバ、マイコンなどを組み合わせ、800V電源アーキテクチャに必要な半導体製品を一括で提供する方針である。
AIデータセンターの800V化では、高電圧直流を中間電圧へ変換した後、AIアクセラレータやCPU、メモリなどが使用する低い電圧まで段階的に降圧する必要がある。
効率のわずかな違いでも、メガワット級ラックやデータセンタ全体では消費電力、発熱、冷却設備、運用コストに影響してくるため、GaNデバイスの低損失化だけでなく、電源回路全体を一体的に最適化することが重要になることを踏まえた取り組みといえ、両面冷却による放熱性の向上と8mm角パッケージによる省スペース化、20mΩの低オン抵抗を組み合わせ、メガワット級へ移行するAIデータセンターの電源密度向上を支援していくとしている。
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