【卓球】「卓球で認知症予防」。 脳波分析で前頭前野の活性化を確認。実証実験が本格化(卓球王国)
44 分前

元卓球日本男子代表監督の倉嶋洋介氏が代表理事を務める一般社団法人「T-NEXT」は、高度な脳波分析技術を持つ株式会社MITS Technologiesの協力のもと、卓球による認知症予防・改善に関する共同研究の一次調査結果を発表した。
これまで卓球界では「卓球は頭と体に良い」と長年語られてきたが、今回の研究によりその脳科学的な有効性が裏付けられつつある。60代から80代の健常な高齢者4人を対象とした予備試験を実施したところ、卓球を行った後、被験者全員の「前頭前野」で明確な脳活動の変化と活性化が確認された。前頭前野は物事の思考や判断、記憶を掌る脳の最高領域であり、今回の調査ではこの部位がしっかりと働き、意欲や前向きな気持ちを高める効果があることが判明した。
さらに脳波の精密な分析からは、注意機能や認知を担う領域が強く活性化したほか、モチベーションを保つ左前頭部が優位に働くことも認められた。プレー後には頭の後ろ側(後頭葉)の過度な活動が抑えられ、疲労を感じずに脳がリラックスしながら研ぎ澄まされた「省エネで効率的な状態」へ移行する点も大きな特徴である。
卓球は身体への負担が少なく、身体接触がないためケガのリスクが低い安全なスポーツである。一方で、相手の打球を見てコースやスピード、回転を瞬時に判断し、動体視力を使いながら体を動かすという高度な「マルチタスク(複数作業の同時処理)」を必要とする。さらに、得点や失点を通じて感情が自然と揺れ動くことや、相手とラリーを重ねる中で会話や笑顔が生まれることも、脳への好影響につながっていると考えられる。
T-NEXT代表理事の倉嶋洋介氏は、「卓球界が経験的に感じてきた可能性を、科学的な根拠として示していただけたことは大きな一歩。競技としてだけでなく、健康寿命の延伸や認知症予防など社会課題の解決に貢献していきたい」と語る。同団体では今後、軽度認知症の人への改善効果や長期間のプレーによる数値変化、子どもたちの脳への影響についても実証実験を進めていく方針だ。
この取り組みには国際卓球連盟(ITTF)も関心を示している。卓球の脳科学的な効果が広く実証されれば、認知症予防だけでなく、学校教育での活用や職場でのリフレッシュ、介護施設でのリハビリテーションなど、新たな健康インフラとして社会に浸透していくことが期待される。 (卓球王国11月号・卓球王国PLUSより一部を抜粋)
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