チーバくんと熊谷知事の対応を「全ての企業広報アカウント」が見習うべき理由(ITmedia ビジネスオンライン)
53 分前

千葉県のマスコットキャラクター「チーバくん」が、大雨被害に伴うSNS上の風評を受け、県外での活動休止を発表した。しかし、わずか4日後には一転して活動を再開。こうした一連の動向がSNSを大いにざわつかせている。
まず、ここまでの経緯を整理しよう。千葉県は台風25号に伴う大雨により、北印旛沼の堤防などが決壊。周辺に浸水被害が広がった。
そんな中、思わぬところから批判の矛先を向けられたのがチーバくんだ。9月19日から台風が関東に最接近した21日にかけて、大阪で県産品をPRしていたところ、「台風から逃げた」といった心ない投稿が寄せられたのだ。
そして9月24日、チーバくんは公式Xを更新。しばらく県外での活動を休止すると発表した。「今は千葉がたいへんなときだから、チーバくんにできることを一生けんめいがんばります! また、県外のみんなに会える日を楽しみにしているね」と伝えた。
これを受け、9月26~27日に群馬県前橋市で開催された「ご当地キャラカーニバルinぐんま2026」の出演も見合わせた。
千葉県のマスコットキャラクター「チーバくん」が、大雨被害に伴うSNS上の風評を受け、県外での活動休止を発表した。しかし、わずか4日後には一転して活動を再開。こうした一連の動向がSNSを大いにざわつかせている。
まず、ここまでの経緯を整理しよう。千葉県は台風25号に伴う大雨により、北印旛沼の堤防などが決壊。周辺に浸水被害が広がった。
そんな中、思わぬところから批判の矛先を向けられたのがチーバくんだ。9月19日から台風が関東に最接近した21日にかけて、大阪で県産品をPRしていたところ、「台風から逃げた」といった心ない投稿が寄せられたのだ。
そして9月24日、チーバくんは公式Xを更新。しばらく県外での活動を休止すると発表した。「今は千葉がたいへんなときだから、チーバくんにできることを一生けんめいがんばります! また、県外のみんなに会える日を楽しみにしているね」と伝えた。
これを受け、9月26~27日に群馬県前橋市で開催された「ご当地キャラカーニバルinぐんま2026」の出演も見合わせた。
突然の活動休止発表を受け、チーバくんを応援する声や心配する声が相次ぐ中で、“組織のトップ”も動いた。千葉県の熊谷俊人知事だ。9月25日、熊谷知事はXで「チーバくんが県外で活躍することで、全国の人が『千葉県のために何ができるかな?』と考えてくれると思います」と言及。自粛は必要ないこと、そしてチーバくんの活動に意見があるなら自身や千葉県庁に連絡してほしいと呼びかけた。
ご当地キャラクターからも励ましの声が届いた。熊本県のくまモンは「ボクたちにもできることが必ずあるモン!復興に向けて一緒に前に進んでいくモン!!また会えるのを楽しみにしてるモン☆」(原文ママ)と投稿。他にも、各地のマスコットキャラクターがチーバくんを応援する投稿を行った。
そして9月28日、チーバくんは公式Xで「いろいろ悩んじゃったけど、今日から、県内外で活動することにしたので、見かけたら声かけてね~」と報告。休止発表から4日後の再開となった。
横から見ると千葉県の形をしている、真っ赤な体のチーバくん。Suicaの「ペンギン」でも知られる、千葉県出身の坂崎千春氏がデザインしたキャラクターだ。2010年の「ゆめ半島千葉国体」および「ゆめ半島千葉大会」のマスコットとして2007年に誕生して以来、20年近くにわたり愛され続けている。
ネット上で千葉県の地理が話題になると、「チーバくんのこの部分」と例えられることも珍しくない。それほど親しまれてきた人気キャラクターの活動休止は、多くの人を驚かせた。確かに、大規模自然災害のさなかにおける広報活動には、平時以上の配慮が求められるのも確かだろう。しかし、今回の決定に「なにもそこまでしなくても」と感じた人は多かったはずだ。
こうした自粛対応は、時に「過敏すぎる」と新たな批判を招くこともある。しかし今回に関しては、背景に大規模災害があった。過剰反応と言われようと、県民を守るため事態の沈静化を最優先した県の判断は理解できるものだ。
地域や組織への親しみを生む「顔」であるキャラクターは、非常時には不満の矛先にもなり得る。身近な存在だからこそ、安易な軽口をたたいても許されると勘違いする人がいるのだろう。
実際に活動休止が発表された後、皮肉を投稿していたSNSユーザーからは「そこまでのつもりではなかった」といった反応も見られた。要するに「単なるジョークだ」という言い訳だが、「言いやすい相手だから」という理由で叩いていい道理はない。
そもそも、県の広報活動への批判を受けるべきなのは、キャラクターそのものではない。問題があるとすれば方針を決定した行政の側にあり、広報のためにつくられたチーバくんに直接苦言を呈するのはお門違いだ。
だからこそ、熊谷知事の発言が大きな意味を持つ。「県外活動への意見は自分や県庁へ」と明言したことは、矢面に立たされたチーバくんから、組織へと批判の受け皿を戻す一手となった。
同時に知事は、県外でのPR活動こそが千葉への支援につながると意義を説明。活動を後押しする「お墨付き」を与えるだけでなく、継続する理由と、それに伴う批判を引き受ける覚悟を示したのだ。
この対応は、自治体や官公庁にとどまらず、企業の広報やSNS運用者にとっても極めて示唆に富んでいる。「顔」として矢面に立つ存在を、組織がいかに守り支えるか。現場に丸投げせず、組織が防波堤となることの重要性を示している。もちろん明確な非があるなら真摯(しんし)に改善すべきだが、理不尽な批判から「顔」を守り抜く姿勢こそが不可欠なのだ。
活動再開直後のチーバくんの投稿は、訪問がかなわなかった「ぐんまちゃん」へのお詫びだった。そして続くポストは、「さっそくだけど、明日と明後日は、仙台に行くことになったよ~」。
一連の対応で特に強調したいのは、休止から再開に至るまで、投稿の中に「お役人の言葉」が一つも混ざらなかった点だ。知事の見事なアシストを受けつつも、最後まで「チーバくんの言葉」を貫き通したことが、ファンや世論の共感を強固にした。
試練を経て、その存在感を一段と増したチーバくん。今回の出来事は、全国のご当地キャラクターや「広報の顔」を守るうえで、一つの前例になったといえるだろう。
著者紹介:城戸譲
1988年、東京都杉並区生まれ。日本大学法学部新聞学科を卒業後、ニュース配信会社ジェイ・キャストへ入社。地域情報サイト「Jタウンネット」編集長、総合ニュースサイト「J-CASTニュース」副編集長、収益担当の部長職などを歴任し、2022年秋に独立。現在は「ネットメディア研究家」「炎上ウォッチャー」として、フリーランスでコラムなどを執筆。政治経済からエンタメ、炎上ネタまで、幅広くネットウォッチしている。
本文の著作権はYahoo!ニュースにあります。