「気持ち悪い」「子供が泣いた」とクレームが来た…わかさ生活の"ブルブルくん"は、なぜ20年も生き残ったのか(プレジデントオンライン)
48 分前

健康食品メーカー・わかさ生活のキャラクター「ブルブルくん」がXやInstagramで人気を集めている。登場当初は社内外で不評で、「気持ち悪い」「子供が泣いた」と苦情が寄せられていたという。なぜ、不評だったキャラクターが、20年も生き残ったのか。創業者の⻆谷建耀知さんの著書『「変わりたい」けど、「変われない自分」から抜け出すための行動の仕組み化』(アスコム)から紹介する――。
■「気持ち悪い」の声こそ手応えだった
皆さんは「ブルブルくん」をご存じでしょうか。私の会社のマスコットキャラクターのブルーベリーの妖精です。
誕生から20年以上の時が経ち、今ではファンが増え、いろいろなグッズになったり、LINEのスタンプになったりしています。
ありがたいことに、街中で若い人が、バッグにブルブルくんのストラップを付けていたり、SNS上で名前や画像を見かけたりする機会も増え、良い方向に「独り歩き」をしてくれています。
しかし、このブルブルくん。最初から誰もが「かわいい」と言ってくれていたわけではありませんでした。
登場したばかりの時は社内でも不評でしたし、周囲からも「ちょっと怖い」「気持ち悪い」といった声をいただいていました。ブルブルくんが登場しているCMを見たお子さんが泣いてしまったと苦情が入ったこともありました。
企業キャラクターとして考えると、不安になるような反応かもしれません。しかし私は、その反応を別の角度から見ていました。なぜなら、それだけの意見が出てくるということは、人の心が動いているということの証でもあったからです。
■かわいさでも完成度でもない大事な要素
実はブルブルくんより前に、「ベリーベアくん」という熊の形をしたかわいらしい企業キャラクターがいたのですが、ブルーベリーの認知を広げるためにも、もっとブルーベリーの形に近い、ブルーベリーの果実の妖精を企業キャラクターにしたいと考えました。
そこで、当時、私は新たな企業キャラクターをつくるために、広告代理店6、7社にコンペをお願いし、共同プレゼンを実施しました。しかし、心に残るようなイメージキャラクターをオーダーしたにもかかわらず、どの会社もまるで判を押したかのように、同じようなデザインのキャラクターを出してきたのです。
私はがっかりした気持ちで「イメージとは違います。この中にやりたいのはないです」とプレゼンを「採用なし」としました。皆さんがお帰りになる中、1人だけ残っている人がおり、その人が「怒られるかもしれないのですが……」といって出してきた案がブルブルくんでした。
大きなぎょろっとした目玉と手足のついたブルーベリー。
私はその案を見た瞬間に「面白い! これですよ!」と思わず拍手してしまいました。かわいいからではありません。完成されていると思ったからでもありません。ほかにはない存在感があったからです。
健康食品メーカー・わかさ生活のキャラクター「ブルブルくん」がXやInstagramで人気を集めている。登場当初は社内外で不評で、「気持ち悪い」「子供が泣いた」と苦情が寄せられていたという。なぜ、不評だったキャラクターが、20年も生き残ったのか。創業者の⻆谷建耀知さんの著書『「変わりたい」けど、「変われない自分」から抜け出すための行動の仕組み化』(アスコム)から紹介する――。
■「気持ち悪い」の声こそ手応えだった
皆さんは「ブルブルくん」をご存じでしょうか。私の会社のマスコットキャラクターのブルーベリーの妖精です。
誕生から20年以上の時が経ち、今ではファンが増え、いろいろなグッズになったり、LINEのスタンプになったりしています。
ありがたいことに、街中で若い人が、バッグにブルブルくんのストラップを付けていたり、SNS上で名前や画像を見かけたりする機会も増え、良い方向に「独り歩き」をしてくれています。
しかし、このブルブルくん。最初から誰もが「かわいい」と言ってくれていたわけではありませんでした。
登場したばかりの時は社内でも不評でしたし、周囲からも「ちょっと怖い」「気持ち悪い」といった声をいただいていました。ブルブルくんが登場しているCMを見たお子さんが泣いてしまったと苦情が入ったこともありました。
企業キャラクターとして考えると、不安になるような反応かもしれません。しかし私は、その反応を別の角度から見ていました。なぜなら、それだけの意見が出てくるということは、人の心が動いているということの証でもあったからです。
■かわいさでも完成度でもない大事な要素
実はブルブルくんより前に、「ベリーベアくん」という熊の形をしたかわいらしい企業キャラクターがいたのですが、ブルーベリーの認知を広げるためにも、もっとブルーベリーの形に近い、ブルーベリーの果実の妖精を企業キャラクターにしたいと考えました。
そこで、当時、私は新たな企業キャラクターをつくるために、広告代理店6、7社にコンペをお願いし、共同プレゼンを実施しました。しかし、心に残るようなイメージキャラクターをオーダーしたにもかかわらず、どの会社もまるで判を押したかのように、同じようなデザインのキャラクターを出してきたのです。
私はがっかりした気持ちで「イメージとは違います。この中にやりたいのはないです」とプレゼンを「採用なし」としました。皆さんがお帰りになる中、1人だけ残っている人がおり、その人が「怒られるかもしれないのですが……」といって出してきた案がブルブルくんでした。
大きなぎょろっとした目玉と手足のついたブルーベリー。
私はその案を見た瞬間に「面白い! これですよ!」と思わず拍手してしまいました。かわいいからではありません。完成されていると思ったからでもありません。ほかにはない存在感があったからです。
■小さな興味、引っかかりをつくる
振り返ると、それは良い違和感だったのだと思います。
当時の企業キャラクターは、親しみやすく、かわいらしいものが主流でした。企業のイメージを良くするための存在ですから、それは当然です。だからこそ、ブルブルくんは異質でした。
見た瞬間に意味がわかるわけではない。でも気になる。なぜか目が止まる。もう一度見たくなる。私はそこに価値があると思ったのです。
人は見慣れたものには反応しません。しかし、少しだけ予想を超えるものに出合うと立ち止まります。
「これは何だろう」「なぜ気になるのだろう」
その小さな引っかかりが、人の記憶に残ります。そして記憶に残るものは、人に語られ、少しずつ広がっていくのです。
もちろん、インパクトを与えられればなんでもいいわけではありません。今はSNSの時代で、過激な発言をすれば注目を集めることもできます。炎上を招けば話題になることもあります。
しかし私は、それを目指したいとは思いません。一時的な注目と、長く愛されることはまったく違うからです。私がキャラクターにしろ、商品にしろ、大切だと思うのは、人を無理やり驚かせることではありません。
「これってなんだろう?」という、人の心の中に、小さな興味、引っかかりを残すことです。そして、もう1つ大切なことがあります。
■ダウンロード版のように改善を続ける
実は、最初のブルブルくんは今とは少し違います。今のほうがずっとかわいくなっています。なぜなら、お客さんの反応を見ながら、少しずつ改良を重ねてきたからです。
私は商品も企画もダウンロード版のように改善を続けることが大切だと考えています。ブルブルくんも同じでした。
最初から完成していたわけではありません。「かわいい」と言う人もいれば、「怖い」と言う人もいました。その反応を見ながら少しずつ育ててきたのです。
もし最初から誰の心も動かさなかったら、改善することすらできなかったでしょう。私は、人の心が動くものからしか、新しい価値は生まれてこないと考えています。
まずは立ち止まってもらうことです。興味を持ってもらうことです。
その小さな感情の動きがインパクトになり、反応を生み、改善につながり、やがて長く愛されるものを育てていくのです。
■「まあいいか」でチャンスを逃す
私は昔、オフィスや店舗の模様替えをよくしていました。今は会社が大きくなったので、そこまで頻繁(ひんぱん)にしないですが、当時は毎週のように机の配置を変えたり、棚の位置を動かしたりしていました。週明けに出社した社員が、「また変わっている」と驚くことも珍しくありませんでした。
取引先の会社に行った時も、つい模様替えのことを考えてしまいます。自分の会社でもないのに、「ここはこうしたらどうでしょうか」「この導線は変えたほうがいいかもしれない」などと言ってしまったこともあります。今思うと、少し迷惑だったかもしれませんね。
なぜそんなことをしていたのか。違和感を放っておけなかったからです。
小さな違和感を覚えても見過ごしてしまうことは、少なくないのではないでしょうか。それは、別に「間違い」ではないからです。大きな問題でもないし、今すぐ困るわけでもないから「まあいいか」で終わらせてしまいます。
しかし私は、その「まあいいか」で済ませたことが、時に「大きなチャンス」を逃す可能性があると考えているのです。
違和感というのは、靴の中に入った小さな石のようなものです。歩けないわけではありません。我慢しようと思えば我慢できます。だからそのまま歩き続ける。
しかし気になる。歩くたびに気になる。そして放っておくと、やがて靴擦(くつず)れになり、大きな痛みへと変わります。本当は気づいた時点で取り除いたほうが楽なのです。
■違和感を覚えたらフタをしない
ビジネスにおいての違和感も同じです。
例えば、お客さんから同じ質問が何度も来る。ですが仕事は回っていて、大きな問題にもなりません。だからこそ放置される。そんなことはないでしょうか。
しかし、その小さな違和感の裏には、「説明がわかりにくい」「大切なことが伝わっていない」という問題が隠れているかもしれません。
あるいは会議で、誰も反対していないのに、なぜか話が前に進まない。売上は出ているのに、現場の空気が重いといったこともあります。
間違いではないから放置される。ですが、間違いではないからこそ残り続けるのです。
私は、違和感とは問題そのものではなく、「問題の予兆」だと思っています。だからこそ気になったら変えたり、動かしたり、実際に試してみるのです。
動かしてみたら、「やっぱり前のほうが良かったね」ということもあります。しかし、違和感にフタをしてしまうと、そこから先は何もはじまりません。
私は、人が成長する時も、会社が成長する時も、変化のはじまりは違和感だと思っています。
何かがおかしい、気になる。しっくりこない。その小さな感覚を大切にできる人ほど、変化に早く気づきます。そして変化に早く気づける人ほど、時代の変化にも対応できるのです。
私は、違和感を覚えたらフタをしない。
それが変化を読み取るための大切な仕組みだと考えています。
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⻆谷 建耀知(かくたに・けんいち)
株式会社わかさ生活 創業者・代表取締役社長
1961年、兵庫県丹波市生まれ。福知山商業高校(現・福知山成美高校)卒業後、東海大学に入学するも、18歳の時に脳腫瘍の手術を受けることとなり、大学を中退。右目の視野を失う。1998年、36歳で「株式会社わかさ生活」を創業。「独自のマーケティング理論」で売上を伸ばし、7年目で100億円企業に。『すべての答えは個客の中にある』(アスコム)など著作多数。
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